2.話題性のある君
雄英高校の普通科の私は戦うための個性ではなく、普通に生活していく中で普通に役に立つような個性を持ったクラスメイトと普通に平和な毎日を過ごしていた。
「やっぱりさぁ、普通科の男子よりもヒーロー科の男子ってかっこよく見えるよねぇ」
入学してからすぐに仲良くなった友達がそう言う。
それに便乗するかのように
「私もそう思ってた!特にさ、A組の轟くんと爆豪くんがイチオシ!!B組だと物間くんかなぁ?」
と別の子が言った。
そしてその後ふたりの視線は一度にこちらへと向いて
「なまえちゃんって、あの爆豪くんと幼馴染なんだよね?羨ましい〜!」
「爆豪くんってどんな子なの?」
情報が早い、なんでもうバレているんだろうか。
出久くんとは毎朝一緒に登校してるし、バレてても仕方ないと思うけれど、爆豪くんとは全く持って話してすらいないのに、彼女たちはそういった情報をいかに集めているのだろうか。
「んー、どんな子って言われても。最近は全然仲良くないからなぁ」
嘘は言ってない。だって本当に仲良くないもん、あの意地悪爆豪くんとは。
私の言葉を聞くとふたりとも少し残念そうにしていたけれど、それからもずっと爆豪くんとその他のイケメンだとかいう男の子の話をしていた。
放課後。今日は何かをする予定もない、出久くんはまだ出てきていない様だし今日は1人で帰るとするか。
あ、そういえば今日発売の雑誌がオールマイト特集を組んでいたはずだ。
買わない手はないし、本屋さんに寄って帰ろうっと!
予定ができた事に少し浮足立ちながら正門を潜り、本屋さんの方へと向かって少し歩いていたら後ろから聞き覚えのある声が耳に届いた。
「おい、みょうじ。…おい、止まれやクソナードが。」
…以前聞いたときよりも幾分か声のトーンが下がっている、声変わりしたのかな。それにしてもこんな言葉遣いの知り合いなんてひとりしか居ない。足を止めて後ろを振り返り、両手を腰パンしたズボンのポケットに突っ込んで、少し仰け反ったようになりながら私を睨みつける爆豪くんと目を合わせた。
「…ちょっと付き合えや。」
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