▼2.Blue

ひなた君と別れてから、今日提出の資料を手に生徒会室へと向かっていると

「あれ、なまえさん?」

今度は先ほど別れたひなた君と瓜二つの、けれどもその首元には水色のヘッドフォンを引っ掛けた澄んだエメラルド色の瞳を持つ男の子。

「ゆうた君、さっきひなた君が探してたよ?」

兄のひなた君と同じ様にこちらへと駆け寄ったゆうた君は私の手元の資料を半分持ってくれた。

「いーんです、逃げてるんで。せっかくだし、これ運ぶの手伝いますよー?」

どこに持っていけばいいんですか?とゆうた君は一度束の資料を持ち直した。

「じゃあお言葉に甘えちゃおっかな〜」

生徒会室だと行き先を伝えると2人肩を並べて歩き出す。


先程私の隣に居たのは兄のひなた君で、今はゆうた君が居る。

なんだか変な感じだな、顔も声も、身長も歩調の大きさも、2人は瓜二つだ。

思わずまじまじと見入っていたら、眉を八の字に下げたゆうた君が目線のみを寄越してきた。

「えっと…俺の顔、なにか付いてます?」

「あっ、ごめん。さっきまでひなた君と一緒に居たから、本当によく似てるなーって思って。
そういえばひなた君、ゆうた君と2winkについての考え方が違うって悩んでたよ?」

「…っ! 兄貴の奴、俺に言わずになまえさんに相談してたんですか? ったく、なんの為の双子ユニットなんだか、2人で解決しなくちゃいけないのに…、巻き込んでしまってすいませんなまえさん」

「いいよいいよー、私はプロデューサーだからね、これも仕事の一つだよ!」

それから生徒会室に着くまで、2winkの今後の方針についての相談…というよりはひなた君に対しての愚痴が続いた。

「大体兄貴はいつも一人で突っ走って行っちゃうんです、いつまでも俺の事を幼い弟だと勘違いしてるのか知りませんが、何でもかんでも俺に相談無しに決めるんですよ!おかしいですよね?!

…あ、着いちゃいましたねー、すいません、ほとんど愚痴しか漏らしてなかったですよね…」

乾いた笑みを零すゆうた君に小さく微笑むながらお礼を添え

「また今度一緒にお茶でもしながら話聞いてあげるからね」

その言葉に少し驚いた様に瞳を瞬かせた彼は、しばらくして嬉しそうに笑顔を零すと1つ会釈をした後踵を返していった。




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