▼ 忍者少年の悩み
拙者には恋心を寄せている女子(おなご)がいるでござる。
それは拙者の一つ上でプロデュース科に編入してきたみょうじなまえ殿でござる。
なまえ殿は拙者が一人で切り盛りしてる忍者同好会に顔を出してくれたり、拙者が忍者になりたいといったら「応援する」と言ってくれたでござる。
そんな優しいなまえ殿は皆から好かれていて、正直拙者…毎日モヤモヤするでござるよ…。
流星隊のレッスンの時には、隊長殿がなまえ殿を抱きしめたり、深海殿が頭をなでなでしてたり…うぅ、拙者だってなまえ殿の頭をなでたいでござる…。
けれど拙者の身長では背伸びをしないと届かないので、そんな格好悪いことはしないでござるが…。
ある日の流星隊のレッスン日。
いつものように
「はっはっは〜! 抱きしめてやろう☆」
といって隊長殿がなまえ殿を抱きしめに行った。
その様子を羨ましそうに眺めていた拙者に、鉄虎くんが声を掛ける。
「忍くん、なまえの姉御ばっかり見てどうしたんスか? あぁ、もしかしてヤキモチッスか〜?」
ニヤニヤと尋ねて来る鉄虎くんの口を慌てて両手で塞ぎに掛かる。
「なっ、何をいうでござるかっ!べっ、べべっ、別に羨ましいなんて思ってないでござるっ!」
拙者たちのやり取りを見ていたらしいなまえ殿が口を開く。
「ほら、そろそろ離してください。忍くんが私にヤキモチを妬いてるみたいなので、抱きしめるなら忍くんにしてください」
きっと隊長殿から離して欲しさにそういったのであろうなまえ殿は拙者に向けて口パクで(ごめんね)と言葉を紡いだ。
なまえ殿の言葉を聞いて、なまえ殿を解放した隊長殿が拙者に両手を広げてくる。
拙者は思わず両手で前に突き出し、拒絶する体制を取りながら
「ちっ、違うでござるっ!拙者が抱きしめて欲しかったのはなまえ殿…で…、あっ、」
パチパチと大きな瞳を瞬かせるなまえ殿。
しかし、一変して笑顔になると、拙者の方へと近寄り、拙者の頭に手をおいて数回撫でてくれた。
突然のなまえ殿の行動に拙者の頬には熱が集まる。
「ふふっ、忍くん真っ赤になって可愛い。こうしてると弟みたいだね」
…弟。
拙者は、拙者だって…
「一人の男でござる〜!」
そう言って恥ずかしさのあまり、レッスン室を飛び出してしまった。
ポカンとするなまえ殿の横で隊長殿が
「はっはっはっ〜! 青春だなっ☆」
と高笑いをしていたのが聞こえた。
Fin.
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