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3.何言ってんの


「…えっ?」

なまえと羽風先輩の声が重なった。

いつもは「昼間は動けない」だとか「我輩は吸血鬼だからのぉ」だとか中二病丸出しの朔間先輩は突然何を言い出すのだろう。

「ホラ、もう夕方じゃから昼間程の気怠さはないしのぉ。それに、我輩も今日はレッスンもないし、家に帰っても凛月もおらん。いいじゃろう? 薫くんや」

「いやぁ、俺が誘ったのはなまえちゃんだけなんだけどなぁ?
それに、なまえちゃんも俺と二人っきりの方がいいよねっ♪」

なまえに向け、お得意のウインクをかます羽風先輩を冷たい目で一瞥した後、ようやく肩に回された手を退かし

「別に羽風先輩と二人っきりがいい訳じゃな…」

そこまで言いかけて言葉を止めた。

(待てよ?今ここでもし、朔間先輩も同行することなんかになったら…また瀬名先輩のことで何か言われるに決まってる…!)

「や、やっぱり羽風先輩と二人がいいんで、朔間先輩は遠慮していただけますか?」

全く心にもないセリフ。
横で羽風先輩は「なまえちゃん…!」となぜか目に薄く涙を溜め、震えていた。
…普段キツく当たりすぎだったろうか。

「そういうことなんで、朔間先輩はおじいちゃんらしく棺桶の中に一生引きこもっ「泉くん」…一緒に行きましょう、朔間先輩」

「えっ!? なまえちゃん…?」

横で信じられないといった表情を浮かべる羽風先輩。


…やっぱりか、この吸血鬼。
本当にタチが悪い。

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