▼ 13.固い決意
「氷鷹くんっ!遊木くんっ! 明星くんがっ!」
軽音部の扉を勢い良く開けるとそこには寝転がる氷鷹くんと遊木くんの姿が。
特訓で疲れているのだろう、しかし今はそれどころではないと、半ば無理矢理彼らの手を引き講堂に行くようにと促す。
「なまえちゃんっ? ちょっ、」
途中遊木くんがなまえの名を呼んでいた気がするが、講堂でひとり待つ明星くんの元へと急いだ。
暗い講堂の中でなおも座ったままの明星くんに氷鷹くんが声を掛ける。
「うわぁぁぁん、ホッケ〜!」
泣きながら抱きつく明星くんを引き剥がしながら氷鷹くんは冷静にワケを聞いた。
明星くんは、なまえと同じことを思っていたのだ。
とても素晴らしかったRa*bitsのライブを二人しか見ていなかった事。
ライブが終わった後、紫之君が泣いていた事。
こんなのはおかしいと、険しい表情でそう口にしていた。
だから…だからこそ、この学院を変えなくてはならないと、再度強く思った。
それから無事に氷鷹くんと遊木くんの特訓は終わり、二人は「あの地獄のような一週間が終わった」と晴れ晴れとしていた。
一方明星くんの方はというと、あのドリフェスを見て以来時々表情を曇らせる事があったが、相変わらずなまえと行動を共にしていた。
「たっだいま〜☆」
元気よく氷鷹くんと遊木くんのいる教室へと明星くんとなまえが姿を現す。
しかしなまえは何やらぐったりした表情を浮かべていて、見兼ねた氷鷹くんが声を掛けると、まるで毛筆で殴り書きしたような字で
『放課後、ひとりで武道場までこい。 鬼龍紅郎』
と書いてある手紙を見せた。
鬼龍先輩…
氷鷹くんたちの当面の敵となる『紅月』に属する人物だ。
なまえだけでは心配だということで、氷鷹たちにも武道場の外まで同行してもらうこととなった。
…一体なんの用事なんだろう。
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