Long | ナノ

7.夜闇を統べる

転校2日目の昼休みは講堂に来ていた。
そこで紫之創くんという明星くんの知り合いにあった。
校内アルバイトの事について説明を受けていると講堂の入り口から一人の男の子がこちらに向かって手招きをしているのが見えた。

まるで吸い寄せられるかのように彼の元へ歩いて行くともう一人同じ顔をした男の子が居た。付いて来るようにと水色のヘッドフォンを首に掛けた男の子に言われ、そのまま歩き出す。

その事に明星くんたちが気付くのはしばらくしてからだった。

「…あれ、転校生がいない」
「その方ならさっき…」





軽音部の部室に連れられ、なぜか縛られてる大神くんを見付けると

「あの、彼はなんで縛られてるんですか…?」

と双子らしき二人にたずねると同時に脇に置いてあった棺桶の戸が不気味な音を立てながら開いた。

「ひっ…!」

咄嗟に身構える様な体勢を取るなまえにピンクのヘッドフォンを掛けた男の子はけらけらと笑いつつ

「おはよ〜ございま〜す☆ ちゃあんと噂の転校生さん連れて来ましたよ〜?」

と呑気に棺桶の中から出てくる人物に声を掛ける。

その棺桶から出てきたのは長く多少の癖がある黒髪を掻き上げ、赤い瞳でこちらを一瞥する、綺麗な人。

「ふぁ‥あ、はて、我輩そんなこと言ったっけのぉ…。
あぁ、思い出したわい。おそらくもうすぐその嬢ちゃんの連れが来るじゃろう。
葵くんたち、少々その嬢ちゃんと遊んであげておいてくれるかのぉ」

そう言うと 我輩の名前は朔間零じゃ と付け加えのっそりと立ち上がる。

「はいはーい☆じゃあ転校生さんこっちに来て来て〜! あ、俺は葵ひなたっ!軽音部一年。そっちの青いヘッドフォンをしてるのがゆうたくんねっ!俺達双子なんだ〜♪」

ひなたくんにグイグイと引っ張られ目の前に差し出されたヒラヒラの衣装を受け取ると ねぇねぇ、それ着て☆ と明星くんのような、輝く笑顔を向けられた。

一方でゆうたくんと紹介された彼は小さく息を吐きつつひなた君の隣に並ぶ。

…えっと、

向けられたキラキラした笑顔を前に断れるはずもなく、簡易更衣室の中で渋々とその衣装に袖を通した。

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