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6.転校二日目

転校2日目の朝、HRの前にちょっと来てくれと佐賀美先生に呼び出されたなまえは慣れない校舎をたどたどしく歩きつつ、どうにか職員室に辿り着いた。

朝から説教なのか、愚痴なのかよく分からない佐賀美先生の話も終わり、2-Aの教室の扉を開けると

「あっ! 転校生! よかった、ちゃんと登校してくれたんだね!」

と明星くんが歩み寄ってきた。それに続いて遊木くん、氷鷹くんも。
みんな口々に「来てくれてよかった」だの「もう嫌になっちゃったのかと思った」だのと言い出し、終いには明星くんと遊木くんに胴上げをされてしまう始末。

目を回しかけているとすかさず氷鷹くんが助けてくれた。

「それでは、また昼休みにでも」

氷鷹くんの一言で三人は各自、自分の席へと戻って行った。



小さな溜息と共に椅子を腰を下ろし、カバンの中から支給されたばかりの新品の教科書を取り出し、一時間目の準備を始める。

ふと、周りを見渡してみた。

深紫色の長い髪を1つに束ねた綺麗な男の子と目が合う。
しかし彼はすぐに目を逸らし、前の黒板とにらめっこをしてしまう。

(…確か、神崎颯馬くんで、アッチが…乙狩アドニスくん)

あらかじめ氷鷹くんからクラスメイトの紹介を受けていたなまえは次に、褐色の肌に金色の瞳を持つ彼の後ろ姿を眺めていると、なぜか筆箱と一緒に机の上に置いてあるひよこが目に入った。

(…ひよこ?授業で使う、わけないし。なんだろう?)

ひよこが気になって止まないなまえを他所に始業のチャイムが鳴った。

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