話によると名前には親がいないらしい。どこの里の出身かも分からない。
物心着いたときから暁にいた。
暁にいるからには任務も当然ある。7歳にはすでに独り立ち。
だが多くは語らなかった。

初の任務。
名前は全くと言っていいほど何もやらなかった。ただ一歩後ろでぼーっと突っ立っていて、かと思えば木陰で涼んでいて。
やったことと言ったら宿取りくらいだ。しかも無人の。
文句を言えば、初めてあった夜のようにへらりと笑ってごめんごめんと言うだけ。

「ねぇサソリ」
「なんだ」
「疲れた」
「お前は何もしてねぇだろ」
「だから名前で呼んでってば」

俺を見ながら笑う名前に負けた。

「…名前」

ぼそりと言っただけなのに、コイツはしっかりと拾ったらしく、俺の目を見て笑った。

名前の笑顔はなぜか見とれる。理由は分からない。だけどそんな理由で、俺は名前がなんとなく好きなのかもしれない。

「サソリはツンデレさんだね」
「…」
「ぐぇっ」

やっぱり嫌いだ。

彼女の笑顔は僕を優しくする



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