どくり、どくり
核から流れ出る液体の速度は大分落ちたように思えた。実際はそんなことはないだろうがな。
感覚ももうない。
ああ、時がきたな。
最後に、アイツの。
名前から、託された、指輪、を。
必死になって漸く動いたかと思えば、ぴくりと動いただけだった。
なぁ、俺は今死んでもアンタが待ってるから怖くねぇ。
むしろ待ち遠しい気分だ。
だが、アンタはどうだったんだ?
まぁ、そのへんのことは向こうで聞いてやる。
そうだな。
まずは俺を置いて逝った仕返しに一発殴らせろ。
そのあとに、最期に聞かせられなかった質問に答えてやる。
俺は、アンタが、名前が好きだった。
心の底から愛してる。
さて、お伽話の続きでもやりますか視界が暗くなる頃、遠くで名前が優しく笑ったのが見えた。
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