短編 | ナノ

 おまけ


 緑間真太郎の部屋は整然としている。むしろ生活感がないといってもいいかもしれない。その中で唯一、机の隣のスペースだけが雑然としている。9色のテディベアにテーピング、限定もののおしるこ缶、高価そうな将棋セットに彼が読まなさそうなグラビア雑誌やこれまた彼が着なさそうなパンク調のTシャツ。それらに囲まれるようにしていくつかの写真立てがあった。そのうち4つにはそれぞれ友人と撮ったものと思われる写真が入っている。白と水色のユニフォームに身を包んだ幼い笑顔、少し成長して写っている人数が増えたもの、少し間が開いたのか大人びたもの、おそらく先輩と一緒に写ったもの。そして残りの空の写真立てには、これから毎年、彼の誕生日に写真が増えていくらしい。彼は来年の7月7日を、指折り数えて待っている。






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