短編 | ナノ

 青緑

(青緑)

※高三/お付き合い中



「緑間ー。ポッキーゲーm」
「だが断る」
青峰襲来。緑間と組み練習をしていた高尾はその四文字で状況を説明すると、爆笑しながら次の指示を出しに後輩の群に混ざって行った。緑間はキセキの天才様は任せたからねーと遠ざかる丸投げの台詞に浮かんだ殺意を当然のように隣に立つ青峰を殴ることで解消した。
彼らが居るのは休日練習真っ最中の秀徳高校体育館である。本来なら桐皇学園のエースが居て良い場所ではないのだが、練習をサボった青峰が恋人の緑間に会いにやって来るのはそう珍しいことではなかった。現に高尾などはもう三年目ということもあり、青峰が来た瞬間緑間を外した練習メニューを組み始める始末である。副主将としては面目ないというか何というか、とりあえず、
「さっさと帰れ桐皇の練習に出ろついでに二度とここに来るな」
「やだ帰りたくねえ練習ダルいここに来るとなかなか見れないお前が見れるからまた来る」
吐き捨てた暴言に律儀に返してくる男に、緑間の額に見事な青筋が浮かぶ。高尾主将ー、緑間副主将キレてるっぽいけど大丈夫ッスか、俺らが。んー、とばっちりくらいそうだから部室に行ってもらうっきゃねーなー。背後で聞こえる暢気な会話が余計に苛立ちを煽り、緑間は乱暴に青峰の腕を掴むと部室に連れ込んだ。
「青峰……貴様、毎回毎回毎回毎回毎回毎回一体何の用事なのだよ!貴様が練習をしないのは勝手だが俺まで巻き込むな!!」
「あー、悪いって。今回はちゃんと用事あるから。つかちゃんと先に用事言ったし」
「はあ?」
悪びれもせずに告げられた言葉に今までの会話を思い返す。そしてその「用事」に思い当たった時、緑間は冷静に青峰を部室から蹴り出した。
「―――死ね」
「だああああ、ちょっと待てって!恋人の可愛いおねだりくらい聞けよな!」
「可愛い!?誰が!?」
「マジ顔で聞くのやめろ傷つくから!!」
「…………大体」
緑間はむっとした顔で青峰の胸倉を掴み上げる。高一で打ち止めだった緑間と違い青峰は着実に身長を伸ばしつつあるが、それでも二人の間にはまだ10cm近くの差がある。男としての沽券をちょっと傷付けられた青峰だったが、続く緑間の行動にそんなことは頭から吹っ飛んでしまった。
ちゅ、などという可愛らしいもんではない。音にするならがつん、だ。仕掛ける方が慣れてないせいで歯と歯がぶつかる痛いキス。
ほぼ勢いのみでとんでもないことをやらかした奴は、何故か得意げな顔でぽかんとしている青峰を見下ろして笑った。
「キスがしたいならそんなものに頼らないですれば良いだろうが、馬鹿め」
―――なるほど、そーゆーことするわけね。
青峰はヤクザも真っ青の悪どい笑みを浮かべると、油断している緑間を床に組み伏せた。部室でヤったら怒られるよなー、でも可愛いことするこいつが悪い。てわけで抗議の言葉が出てくる前にその口を問答無用に唇で塞ぐ。奥手で、手を繋いだだけで真っ赤になるような恋人が拙いとはいえ自分からキスを仕掛けてきたのだ。これで勃たなかったら男じゃない。
緑間が深いキスに抵抗すら奪われているのを良いことにユニフォームに隠れた脇腹を撫で上げ、青峰は細い身体を暴いていった。




「高尾主将ー、俺らどうすれば良いッスかね?」
「とりあえず近くのファミレスで時間潰すぞ。青峰の名前で領収書切るから好きなもん注文しろよー」
「うーっす」





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ポッキーどこ行った。
強引な青峰と男前な真ちゃんが好きです。



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