08
限界まで酷使した身体と精神が1日だけの睡眠で何とかなるはずもなく、そこへ追い打ちをかけるかの如く好き勝手されては起きるなど到底無理な話だった。太陽はとっくに真上を通り過ぎている。手探りで引き寄せ確認した時計は意味を成さないとすぐ放り投げられることとなった。ここまで来てしまえば時間など些細なことだ。それでもまだ寝足りないと体が訴えるので、隣にある温もりに縋りついて視界から光を排除する。
「いま、なんじなん?」
「……にじ」
「ん〜……にじ!?」
飛び起きた彼に跳ね除けられベッドの端へと転がる。小言を零す気力すら無いので布団を独り占めして枕に顔を埋めた。そのまま睡魔に身を委ねようとしたが、抱き起こされて失敗に終わる。
「ご飯、外で食べよ」
「どこいくん」
「散歩!」
寝かせろ、という声は届かなかったらしい。