06

まるで餌を強請る雛の様に口を開けて、内側をまさぐってくる肩を掴む。アイスも捨て難いがこちらも、と唇を重ねることを止めない彼の中にはアイスなど既に存在しないのだろう。残りが溶けてしまうと抵抗するのは諦めた。もはや味などしないが、やめる気配のない彼が機嫌良さそうにするので好きにさせておく。とろり、と溶けた目に、似た色の自分の目が映っていることが少し不思議だった。近すぎてぼんやりとする、力強い若木の葉を思わせる鮮やかなそこは今や欲に濡れて誘うように揺らめいている。普段の様子からはその気は微塵も感じられないというのに、こういうときだけ狡い人だと思った。これ以上見詰められれば流されてしまうと一度は止めようとしたものの、行為を込みでここへ来たのだろうことを考えると判断は鈍る。色々と言いはするが、結局のところ求められることは嫌いではないのだ。



「すぺいん」

「ん……ベッド行こ?」



そういう意味で呼んだわけではない、という抗議の言葉はあっさりと彼の咥内に飲み込まれてしまった。





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