32

一頻り甘えて満足したらしく、顔を上げた彼に拗ねた様子は見当たらない。



「朝、お前の飯食いたい」

「ええよ。何、食べたい?」



真剣な顔で何を言うかと思えば可愛いらしいおねだりである。

未だ貼り付いたままの背を撫で、それから前髪を掻き上げて露わにした額にキスを落とす。

あれやこれやと、到底朝食には似つかわしくないものを言い出すのを、黙って聞きながら頷き返した。これらが作れなかったらもう一日泊まっていくのだろうか。

そのようなことを考えてしまうあたり、自分も相当寂しいらしい。





×
「#寸止め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -