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言われるがまま向かった浴室も案の定、綺麗になり見違えていた。切れかけていたソープもくたびれたスポンジも新しいものに交換され、補充されているタオルは物凄くふかふかだ。何を企んでいるのかと戸惑うのは、滅多に訪ねて来ない人がいたからである。仕事の関係で泊めてほしいのであれば早くに連絡が入るので、今回の訪問は完全にプライベートなのだろう。だからこそ狼狽えるが、ひとつの可能性に思い当たりながら体を洗っているところでドアの向こうから彼の声がした。
「着替え置いとくで〜」
母親かと思った。