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内職を持って来ていないのか、何をするでもなくソファに転がる旋毛を見下ろし首を傾げる。いつもであればせっせと造花なり封筒なりをこさえているものだ。受注分が終わっているのだとしたら、尚更ここよりも遠くへバカンスにでも行けば良かったのにと思う。けれど彼の性格を思うとそれはとても合わない気もした。精々、可愛がっている元子分のところか、山向こうのお隣さん筆頭に集まって飲むくらいだ。
「余計に不思議や」
「なぁなぁ、膝枕したって!」
思わず零れた言葉よりも声が聞こえたことの方が大事らしい。勢いよく身体を起こしてソファを叩くので大人しくそこへ腰を下ろす。間を開けず乗せられた頭を撫でてやった。珍しいと思うが、訪ねられて悪い気はしないのだ。