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窓に頭を預けうとうとと船を漕ぐ姿に、あれだけはしゃげば無理もないか、と音楽を小さくする。どこか郷愁を誘うこの曲は、少し前に流行った子たちのものだった。夕日によって金に縁取られた癖毛が揺れている。信号の合間に盗み見ては、満ち足りた気分に浸った。古い車は静かで滑らかな走りとはいかないけれど、どうやら彼にとっては問題は無いらしい。完全に落ちた頭がそれを教えてくれる。
写真立てを作ろうなどど言って拾ってきた貝殻やシーグラスはしっかりと抱えている辺りが彼らしかった。ここしばらくは写真を撮った記憶が無いため何も入れるものが無い気がする。そう伝えたのならば、一緒に撮ると言い出すだろうなと笑ってハンドルを切った。