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繁忙期を乗り越え、山積みの仕事を片付けて泥の様に眠ったのが昨日の昼。今は翌日の夕方も過ぎた頃だが、意識を失くす前よりも部屋が綺麗になっている。記憶の中ではとっ散らかりすぎて無惨としか言えない有り様だった。それがどうだろう。床に散乱した紙類も飲食物も、食器の積み重なった台所も山となった洗濯物も何もかも全てがその姿を本来のものに戻っている。極めつけにはリビングから漂う良い匂いに、ハウスキーパーを雇った覚えはないが、と寝室を出た。
「おはようさん。シャワー浴びたらどや?」
「なんでおるん」
「お前が倒れそうやって聞いて」
悪意の全く見えない笑顔でフライパンを持つその男に脱力してしまった、そんな連休の初日。