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青い空と白い雲、きらめく太陽に打ち寄せる波を目の前に、車を降りる前からうずうずした様子の彼に苦笑する。待てをさせられている犬の様にこちらを窺がうものだから、行って良いと手を振った。
「一緒がええんやって」
「日焼け止め塗らしたってよ」
「小麦肌もかわええよ?」
「痛くなってまうんよ」
そらあかん、と声を上げたかと思えば駆け寄って背後に回ってくる。塗ってくれるのだろうと遠慮なく日焼け止めを渡した。存外丁寧に塗るので擽ったいが、そんなことで手を止めさせるのも悪い。日に焼けることが好ましくないとは言え、着込むのも出来ないのが何とも厄介だ。水着ではないため、出る面積が少ないのが救いだった。
「出来たで!」
「おおきに」
無いよりはまし、くらいの薄い上着を羽織るのもそこそこに手を引かれて目の前の背を追い掛けた。