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ふと意識が浮上する。カーテンの隙間から覗く空はまだ暗く、外は静寂を保っていた。穏やかな寝息が聞こえ、それからそっと鼓動が伝わってくる。余すことなくくっついている所為でとても暖かいが、空調が効いているお陰で不快感はない。安心しきった顔を見ていると何だか感慨深くなった。昔を思うと良くここまで持ち直してくれたなと思う。彼がいなくなれば自分もいられない。今こうして人の営みを送れているのも、一重に彼の生きる力があるからこそだ。
「よう頑張っとるね。偉いね、スペイン」
髪を撫で、目元を擦り頬を包む。労わる様に優しく、そうして唇を重ねる。願わくば、これから先もかれが笑っていられますように。ひとつ祈り目を閉じた。
「…そんなん、ずるいわぁ」