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結局、用意した客室は使われないまま終わりそうだと、さも当然の様に隣に潜り込んできた彼の腕が背中に回されるのを好きにさせながら居心地の良い場所を探す。今の季節を思うと暑さに負けた彼にベッドの下へと落とされる心配もなくはない。どうかこのまま何事も無く朝を迎えられますようになどと思いつつ空調を緩くいれた。夜中にそんなことで起きたくはない。
「なあ〜」
「ん?」
「キスしたって〜」
「はいはい」
おやすみ、と額と目尻にひとつずつ落とす。あやすように頭を撫でてから目を閉じて眠気に身を任せたところで抗議された。愚図る子供みたく頬を押し付けられては降参するしかない。拗ねて尖った唇に軽く触れれば、もっとと言わんばかりに押し付けてくる。常であれば甘やかす側にいる彼にこうも甘えられては、つい叶えてしまいたくなるから良くない。
「甘えん坊さんやねぇ」
「お前やからええねん」