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温めるだけで良いのだから作り置きとは最高だ。帰宅途中で買い足した肴を皿に並べながら電子レンジに昨日の料理を放り込む。冷凍してあった果物でサングリアを用意する上機嫌な背中に感謝した。つまみ食いにも目を瞑ろう。



「「サルー!」」



軽い音を立てたグラスに口付け煽る。鼻を抜けるフルーツの香りと甘みが何とも言えず幸福を誘う。昨夜とは異なりソファの前のローテーブルに並べられた品々は、残りとは思えぬほど豪華なものだった。柔らかく煮込まれた牛肉を頬張れば自然と表情は緩む。自分ひとりではここまで手を掛けることが無いため、彼と会ったときの特権と言ったところだ。美味しい食事と話し相手、時折触れる体温とで気分は降下を知らない。こういうのもたまには悪くなかった。近くにある肩に頭を預けて笑う。

嗚呼、けれどひとつだけ。彼に飲ませすぎないことだけ注意しなくてはいけない。






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