きっかけは、そう、図書館の司書さんだった。
 図書館、と言っても、それは私の通っている学校内にある。自他共に認める本の虫である私は言わずもがなそこが大好きで、ちょっとした暇さえあれば通っていた。
 そうしているうちに顔見知りになった司書さんと、すっかり仲良くなったある日。その司書さんはとっておきの話を教えてくれたのだ。
 ――電車で20分くらいかかるけど、とっても素敵な私設の図書館があるから、行ってみたらどうかな?きっと、名前ちゃんも気に入ると思うの。
 そんなことを言われたら、知らないところが苦手で方向音痴だとしたって行くしかない、と、司書さんから貰った小さな地図を握りしめて、今ここにいる。
 期待と緊張にどきどき弾む心臓を抑えて、こじんまりとした建物の、さらに小さなマホガニーの扉にそっと手を伸ばした。


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