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「み、るな……そんな目で、オレを、見るなァァァァァァァァッ!!」
現実世界では、ラフェールがガーディアン・エアトスを召喚したことで状況が一変した。優勢に立っていた闇遊戯が逆に追い詰められたのだ。そして目の前には彼を責めるような目を向けるブラック・マジシャン・ガールやブラック・マジシャンたち、闇遊戯のモンスターたちが空中に浮いていた。
「……名もなきファラオよ、それがお前の闇が導いた結果だ。お前が自分の闇に負けた、結果だ!」
「遊戯さん!あなたらしくないですよ!しっかりしてください、遊戯さんッ!!」
「見るな見るな見るな見るな見るな!!何故そんな目でオレを見るんだ!?何故そんなことを言うんだ!?嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!オレは悪くない、オレは悪くないんだ!」
ラフェールは自身の闇に負けたと言う。遊星は自分らしくないと言う。闇遊戯はわからなくなっていた。自身の闇に負けた?自分らしくない?そんなことない、そんなことないのに!!その思いだけだった。
だが信頼していたはずのモンスターに見捨てられ、闇に負けたと言われ、らしくないと言われ混乱してしまう……
「ガーディアン・エアトスの攻撃!フォディデン・ゴスペル!!」
(夢、だ。こんなのはゆ、め……)
「うああ゛ああぁぁぁぁッ、あぁっ、あ゛ああぁぁぁぁッ!!」
まばゆい光に包まれ闇遊戯の意識は闇に飲まれていった。
最後に聞こえたのは、
“もうひとりのボク!”
“遊戯さんッ!!”
ただ、それだけ。
*****
「遊戯さんッ!」
「遊戯!!」
闇遊戯がガーディアン・エアトスの攻撃に飲まれた瞬間、遊星と刹那は叫んでいた。優勢に立っていた彼が1ターンで状況をひっくり返されたのだから。攻撃される前、様子のおかしかった彼。そのまま攻撃を受けたのだ。
ふたりは叫ぶしかなかった。この声が彼に届けばいいと思いながら。
*****
「あぁっ、もうひとりのボク!」
伝わってきた、敗北の瞬間。勝てると思っていた…反面、負けると思っていた。いつもと違う彼、絆を無くした彼。
『ふん…こんなものか…つまらないな』
白い彼がそう言い消えた。残されたのは泣きじゃくる彼と遊戯だけ。
(もうひとりのボク、ボクはキミを助けられなかった。近くに、いたのに……)
そして決意する。
(今からでも助けられるよね)
*****
「…名もなきファラオよ、その魂我らが神に…」
ラフェールがそう言うとオレイカルコスの結界が収縮し始めた。負けてしまい呆然と立ち尽くしたままの闇遊戯の方へ。
「遊戯さんッ!!!」
遊星は直感的にヤバいと感じ、闇遊戯を結界の外へ連れだそうとしたが深緑の稲妻に阻まれ出来なかった。それでもなんとか連れだそうと体当たりを続けた。しかし刹那が無謀にも体当たりを続ける遊星を押さえ付ける。
「離せ、刹那!」
「このままだと先にお前が潰れる!」
「くそ、離せ!離せ、オレは、遊戯さんを…ッ」
刹那に押さえ付けられた遊星の叫びが虚しく響いた。
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