2013/04/08 01:02


・2/3…昼、ロンドン市内探索。徒歩とtube(地下鉄)でウェストミンスター寺院、ビッグ・ベン、ナショナルギャラリー、バッキンガム宮殿を見て回る。夜、パブでフィッシュアンドチップスを食べる。

早起きをしました。
天気は生憎曇り、というかロンドンって滅多に晴れないらしいんですね。なるほど本当だなあ、とまた感慨深く、ひとまずホテルで朝食。コンチネンタルという安いスタイルの朝食なので、用意してあるのは薄い小さな食パン(12、3p四方くらい)とシリアルが2種類(ナッツとかドライフルーツとかが入ったライスフレークとコーフレーク)、チーズも2種類(単なる色違いにも見えた)、オレンジジュース、アップルジュース、コーヒー、紅茶、ミルク、ジャムのみ。これが5日間続きました…うん、日本のホテルの朝ご飯が豪華だって知りました。
まあ基本的な料金が桁違いなので当然と言えばそうですが。でもさすがにパンや乳製品は、日本で今まで食べていたものは何だったのか!と思うくらいおいしかったです。薄いトーストについても、自分で置いてあるトースターで焼くんですが、おいしい、と噂に聞いていまして、たしかにカリッとしていて、でもパン自体がおいしいのでパサパサするわけでもなく、とっても気に入りました。元来パンは好きではなかったのですが、毎朝2枚は平気で食べちゃいました。

さて、なかなかにお腹を膨らまして、いざ出発。ホテルから歩いて5分と経たず駅があるのですが、最初は案の定迷子になりました。周囲を変にぐるりと一周して、実は有名なハイドパークのそばにホテルがあることにこのとき気付きました。結局パークには入らずじまいでしたが、駅は発見。くまのパディントンで有名なパディントンステイション。パディントンの像を探したかったんですが、時間もなく、駅はだだっぴろくて仕方なく地下鉄に直行。日本の駅と違って扉のないドーム屋根の建物で外に開けた造りな上、天井も高い。朝のラッシュもそのせいか、あまり混んでいるとは感じませんでした。そして地下鉄のチケット売り場でオイスターカード(ロンドンのSuicaみたいなの)を機械で購入…のはずが私だけクレジットカードが通らない!イギリスはカード社会なので大抵の機械やレジでばんばんカードを使います、が通らない。仕方なく長い列にならんで駅員さんからオイスターカードを買いました。
ここでひとつ衝撃、英語は普通に通じて滞りのない購入だったのですが、40ポンドチャージで紙幣を渡した途端、駅員さん、紙幣を手で揉んでぐっしゃぐしゃのシワまみれに!確かにピン札は扱いづらいのでわざとくしゃくしゃにして使う人が多いとは聞いていましたが、目の前でされるとは!日本人はやらないですね。カルチャーショック、面白かったです。

初乗りチューブは案外狭い。日本の電車の方がゆったり広いかも。というのも電車が四角、というよりは丸いフォルムをしてるからです。あとプラットホームが超狭い。でも基本日本の地下鉄と構造や仕組みは一緒なので日本人はすぐに馴染めるような代物でした。でも使いやすいだけ画一化された都市構造に過ぎなくて、新鮮味のなさにわたしはちょっぴりつまらなかったです。

さて、いろんなラインを乗り継いでウェストミンスター駅へ到着。ラインの乗り換えがわりと忙しいのがチューブの特徴です。駅から這い出してちょっと歩くと赤っぽい色の教会を見つけました。これ?ウェストミンスター…あれ、なんか違うかな、と思ったものの友達がズンズン入っていくのでついていくと、この日は日曜日で礼拝の真っ最中。でも誰でも来ていいようなので置いてある聖書を適当に取って着席。聖書は日付ごとにページがあって2/3のお祈りのページを開いてなんとなくノリで皆さんの言うことを復唱。
後ろの席だったのであまり祭壇の方は見えませんでしたが、馴染みのない宗教の儀礼を体験するのは不思議な気分でした。通路を挟んだ斜め前の椅子群に座る人の中には自ら跪いて手を組み、何事か呟いて祈っている人も。わたしが全く信じていないし、よく知らない神様をこんなにも熱心に信仰する人もいる。斜め後ろのちょっとギャル的な女の子もロード(神よ)ときちんと復唱している。でもわたしには分からない感覚で、イギリスにいる間教会ほど疎外感を覚えた場所はありませんでした。拒まれたわけでも、わたしが拒んだわけでもなく、ただわたしの今までの人生も感性も、ただこれを知らないんだと感じていました。

ちょっと半透明人間気分を味わってから改めてウェストミンスターへ。ちなみに今しがたの教会、結構大きなものだったのですがバリバリオフィス街のど真ん中に建っていて、隣の全面ガラス張りビルがなんだか間抜けに見えました。時代錯誤な街とはまさにロンドンのことです。

そしてウェストミンスターにようやく到着したものの、なんと日曜は信者以外は立ち入り禁止!さすが王族の結婚式もやるだけあって余所者には冷たい教会!仕方なくウェストミンスターは明日に回して一路テムズ河方面へ。

ビッグ・ベン、ほんとすぐそこでした。横断歩道わたったらもう国会議事堂で、回り込んだらもうビッグ・ベン。わたしの感想、意外とビッグじゃない…。もっとギョッとするほど大きいのかと思い込んでいたためですが。建物自体はゴシック調でかっこいいです。そしてビッグ・ベンの真ん前がテムズ河。テニプリの映画にも冒頭で出てきましたね。でも映画観てるときずっと思ってたんですが、生でテムズ河見て確信。シウ、テムズ河は飛び込まない方がいいよ。汚いです。水量が多いせいもありますが日本の川のように流れが早くないのでかなり淀んでいる、という感じでした。ちょっと社会的、歴史的なお話をすると、ロンドンってとこは18世紀以降段々と都市として人口過密の問題が起こっていたんですね。それで足りなくなるのが、お墓。墓地を始め、教会の床の下にも遺体を埋めるのがイギリスの埋葬の仕方なのですが、やっぱり場所が足りない。ということで貧しい人たちは川に遺体を流すしかないわけです。もちろん生活排水や工場からの排水も流れ込むわけで、つまるところテムズ河ってのはイギリスの道頓堀なんです。ヘドロあります。今はだいぶ改善されましたが、そういう経緯も知った上で見るテムズ河、うーん、ある意味これも座学の体験。

さて、まあそういう不気味な話は置いておいて、その日は河を渡りきらずに河沿いを歩いてふらふら。途中パフォーマーと見せかけてお金をせびりにきた人たちにびびりつつ、元の広場へ。

そしてロンドンと言えば美術館と博物館!さっそくこの広場にあったナショナル・ギャラリーへ直行。イギリスは基本的に博物館や美術館はタダで観れるので、出入りの自由さに驚きました。また所蔵しているものの数が違います。詳しくは後日の大英博物館の話に譲りますが、とても1日じゃ見て回れません。
そしてお土産も買ってみたものの、ここでイギリスまずいもの紀行の登場。美術館のカフェに寄りました。この日、わたしは汁ものが恋しかったあまりこのカフェでじゃがいもとキャベツのスープを注文しました。パンが2枚ついただけなのに1000円近くするこのセット、値段もさることながら、まずい。見た目はパンプキンスープみたいだったのですが、ジャガイモがどろどろに溶けていて、味付けは多分塩だけで、そしてキャベツは何故かシャキシャキと音を立てる固さ。友達に「おいしい?」と聞かれて、ああ、これがイギリスの洗礼なんだなあと笑顔を浮かべて「まずい!」と言い返しました。しかし頼んでしまったし、量は多いけど食べ物を残すのはわたしのポリシーに反します。食べました。何故かまずかったパンまで残さず。もう最後はまずさのあまりちょっとリバースしそうだったんですが、頑張りました。勝った。

まあでも美術館のカフェって味が微妙なところ、日本でもあるし、と思い直し、今度は一路バッキンガム宮殿へ。どんよりの曇り空の下、広大なグリーン・パークの横をひたすら歩きました。この日まったく何キロ歩いたんだか、足はもう棒のようでしたが、それでも宮殿に到着。円形の広場左端に宮殿発見。うーん。地味…。いや、失礼。あまりこちらも大きくはなかったです。特に庭園がついているわけでもなく、宮殿というよりは迎賓館のような感じでした。といっても、多分宮殿の建物はいくつかに別れているようで、この日は閉まっている門もあったので、もっと立派な建物が別にあったかもしれません。しかしもう夕方、天気もますます悪くなってきたので移動。

夕食を食べにまたチューブに向かったのですが、また声をかけられた。戦没者慰霊碑のある広場でイタリアから来たという男性に声をかけられ、確か、バッキンガム宮殿どこかなあ、見たいなことを聞かれました。が、直後今度は警察と名乗る男も登場。この辺りは麻薬が横行してるんだ、お前たちは何者だ、パスポートを見せろ!というのです。しかしホテルに忘れてしまったので、あちゃーと思っていたら、何か取り出そうとしたわたしを友達が止めました。そして警察の男が不意に笑顔になって君たちはいいよ、と握手。よく分からず、まだ詰問されるイタリア人(?)を残してわたしたちはその場を離脱しました。友人いわく、ああいうのはグルで観光客からパスポートを盗むこともあるらしい、とのこと。結局正体は分からなかったのですが、まあいいや、と流して今度はパブへ。

パブの詳しい場所は忘れてしまったんですが、確かウエストエンドの方で、ソールズベリーとかいうとても古いパブ。この日私も友達もすっかりくたびれていて、若干機嫌は悪く、一度は夕食もここで食べるかどうか議論したのですが、他に当てもないのでこのパブに落ち着くことになりました。
そして出会った天使!ここのパブは普通に席に着いてから注文をする形式だったのですが、わたしたちのテーブルについてくれたお姉さん(同い年)がかわいくて優しくて、パブの作法を知らないわたしたちにもとても優しく接してくれました。友達も感激して、わたしもビールは飲めないのですが、せっかくと思ってベリーのソーダを注文。するとびっくりするくらいおいしい!え!イギリスってほんとこんなにお酒はおいしいんだ!と昼の食事ショックから脱しました。そしてお姉さんに注文して十数分。やってきました、イギリス名物、フィッシュアンドチップス。単なる白身魚のフライと大量のフライドポテトです。友達は「うまくない!」とショックを受けていましたが、わたしからすれば昼のスープショックがあったので、フィッシュアンドチップスの方がよっぽどおいしかったです。ついでにサンドイッチも注文してそれもむしゃむしゃ。こちらはまあまあでした。まあなにせお姉さんがいい人だったのが本当にこの日の良い思い出でした。


これはこの旅を通じて思ったことでした。実は変な思い込みで、わたしはヨーロッパまで行ったら、きっとまるで異世界にでも訪れたような気持ちになると違いない、と思い込んでいました。テレビでみるヨーロッパの国々は、驚くほどいつも高い空をしています。日本ではまずお目にかかれないような、何か突き抜けたような青空をしています。そうか、あんな空をしている場所がよそにはあるのか。そんなふうに思っていました。でも実際やってきたイギリスの空はそんなに高くない。それがイギリスに来た実感がない、と思った理由です。旅行者だから、そんなに人と話すこともなく、だから言葉の壁の苦しみもあまりなくて、余計実感はわきませんでした。でもそれで良かったのは、別に国が違ったって、人は人で、文化の違いで多少の違いはあっても、結局その人個人がいい人かどうかって感覚は変わらないということ。そういう意味では、日本だろうがイギリスだろうが大した違いはないな、と思ったのです。
たとえばわたしが落としたリョーマくんのキーホルダーを拾ってくれたとてもきれいな黒人寄りの女性も、すごく素敵な笑顔で声をかけてくれました。イギリスに来てまでリョーマくん落とすなよ!と苦笑しましたが、あのときの女性はほんとうに美人でした。飛行機の中で、ちゃんと英語を使ってえらいわ!とわたしたちをほめてくれた添乗員の、ちょっとパワフルな感じの女性も、ホテルのインド系のオーナーも、人種の違いとか、言葉の違いとか、仕種の違いとかよりも、わたしにはむしろ人の優しさをいつもより感じさせてくれる人たちでした。
今思い返すと、彼らの優しさの方が日本からの距離を思い起こさせます。こんな遠くへ来たけれど、変わらず優しいと思える人は存在する。
だから言葉が通じる分、日本の方が人の本当の姿が言葉によって隠されているような気がしました。人種が同じという油断や妙ななれ合いも日本にはあります。でも一歩外の国へ行ってしまえば、今度はわたしがマイノリティ。ただ日本人だというだけで、もっと大きなくくりでアジア人というだけで、奇異だとでも言いたげな目も少なからず向けられました。でも、そんなこと何でもない、とか、仕事上慣れている、とかいう人もいて、決して日本のような過度なサービスのないイギリスでは、優しさっていうのはマニュアルじゃなくて、ただもうその人の本質次第だったようです。

一瞬の出会いで、もうあのとき会ったひとたちはきっとわたしのことを忘れてしまっているでしょうけども、わたしはあの人たちの優しさが新鮮で、嬉しくて、とても大きくて、きっと忘れられないだろう、そんな気がしています。

さて、この日は食事をとって帰ったらかろうじてお風呂に入って爆睡。シャワーは狭いけどすぐお湯も十分出るし(というかお湯と水、っていう出方じゃなくてバルブひとつで最初水だったのからほどよいホットウォーターになるまでしか出ません)狭いガラスケースの中で立ったまま、ざーっと頭から顔まで洗って、あとはすでにお風呂に入る気力もなく寝ていた友人の隣のベッドでわたしもぐっすり。わたしは寝ることに関してだけは神経過敏なのですが、実はこの旅の友人といるときだけはすごくよく眠れます。不思議。もちろんその日の疲れもあって、でも自由で、ある意味不自由で、楽しくて、つらくて、とにかく足が痛い、そんな心地いい眠気で明日への不安と楽しみを抱えて眠りました。

さあ、また長くなりましたので、続きは次回の日記で。
うーん、いつ書き終わるんだろう。


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