満月と新月 | ナノ
満月と新月



つかの間の休息



「おーい」


いきなり風呂の扉を開けたのはユーリだった。


「わっ!何!?」


さすがにベティも驚いて、慌ててドアを閉めようとする。
が、ユーリも閉めさせまいと踏ん張るので、ドアはぴくりとも動かない。


「やっぱ、お前キレイだよな」


ユーリはベティの体をじっと見つめた。

「………やめてよ。みんなは?」

「飯買いに行ったぜ」

ユーリはにやりと笑った。

「嫌な予感しかしないわねん……」



ベティは、濡れて頬に張り付いた髪を耳にかけた。

何気ない仕草だったのだが、本当に色っぽくて、ユーリはドクリと胸が騒いだ。

湯気が脱衣所にまで立ち込める。


ユーリは濡れたままのベティを抱き寄せ、頭を押さえて彼女の口内に、舌を割り入れた。

「んー!」

ベティはバタバタと体を暴れさせたが、ユーリは全くそれに無反応で、歯列をなぞってくる。

長いキスの後、やっと唇を離せば、ベティは抗議の視線でユーリを見つめた。

「服、濡れてるわよん」

「こんな事しにきたんじゃねえんだよ……」

ユーリは本当にそういうつもりではなくて、ただ単にちょっかいをかけにきだけなのだ。



「説得力ないじゃん」


ベティは元気に起き上がっている、ユーリのソレを撫でた。

「オレも入るわ」

ユーリはぱぱっと服を脱ぎ捨てると、風呂場に入ってきた。

熱めのシャワーで体を流すと、あっけに取られているベティの胸にかぶりついた。



「…っやめ…!」


ベティはユーリを引き離そうとしたが、ぬるりと先端を舐めた舌先に、思わずぶるりと体が震えた。

ユーリはいつもよりも執拗に身体中を舐めてくるので、ベティも艶っぽい吐息が漏れる。


「んぁっ………」

「お前もその気になってんじゃねえかよ」

ユーリはいたずらっぽく笑うと、また強引に口づける。
ベティは壁に追い詰められ、ひやりとタイルが背中に触れた。

「…んっ……みんな戻ってくるって!」

ベティはユーリの顎を手で押した。

「リタは時間かかるだろ。カロル達もおっさんが居るんだ気ぃきかしてくるさ」



ユーリは気にする様子もなく、首筋に舌をはわせた。

ザーッとシャワーの水が床へ落ちていく音に混じって、泣くような喘ぎ声が響く。

「あぁっ!」

ユーリがベティの濡れた股のあいだに指を滑り込ませてきたので、ベティは思わずぎゅっと彼の二の腕に爪を立てた。


いやらしいほどに濡れたソコは、細いユーリの指など、簡単に受け入れる。


「…っ…はっ……あっ」


容赦なく攻め立ててくるので、ベティもユーリの欲を握った。

先走りを指で絡めとれば、ねちゃねちゃといやらしくまとわりついてくる。


「んっ……ふあっ……」


ユーリがイイところをこすってくるので、ベティの中からは愛液が溢れてくる。


「…ああっ!」


ユーリがベティの足を持ち上げ、奥まで容赦なく自身を彼女の中へと入れた。

シャワーで濡れて、体に張り付いた髪が、さらに2人の色香を増していく。

さすがのユーリも、皆のことが気にはなっているのか、性急に事をすすめてくる。
腰をふりながら、ユーリはベティを熱っぽく見つめた。



「……好きだ……」



どこかユーリの言葉には余裕がない。
ベティは何も言わず、キスで答えた。


「……ああっ…あっ…!」


ユーリが突き上げるように動けば、ベティはいっそう声を響かせた。


「……ココ……好きなんだな」

「やっ……も……むりぃ……」

「イク?」

「……んっ…イク…っ!」

ベティがぎゅっと目を瞑ったので、ユーリは激しく突き上げた。


「ああっ!…も…だめえっ……ああああっ!」


ユーリにすがりつくようにベティはしがみついて、肩で息をしていた。


じんじんと痺れるように、2人が繋がっている所が気持ちがよくてたまらない。


「あっ……んっ……んんっ…」


ユーリはそれでも容赦なく、奥へ奥へと突き上げてくるので、ベティは頭が変になりそうだ、と思った。

抜けそうなくらいギリギリまで引き抜いたと思ったら、そのまま奥へと勢いよく入れられる。
何度もそれを繰り返されれば、快楽に身体中が震える。

もっと激しく乱されたい、と。

ねだるような視線をユーリに送れば、彼は途端にまたスピードを上げた。


水の音と肌が触れ合う音が、タイル張りの風呂に響く。


ユーリだって、何度もいろんな女を抱いたし、ベティだって色んな男に抱かれてきた。

それでも、今はお互いにとってなにより特別で、愛のある行為といっていい。



「も……いくぜ……!」


ユーリは激しく腰を揺さぶった。








「頭洗うのうまいな」

ベティはわしゃわしゃとユーリの長い髪を泡立てていく。

「パティも好きなのよん、コレ」

「ふーん。お前らなんでそんな仲いいの?」

「さぁ?ユーリとフレンだって仲良しじゃん」

「オレらは腐れ縁だよ……ただ昔から一緒にいたってだけ」

「素直じゃないわねん。それでもまだ仲いいのは気が合うからでしょん」

ベティは器用にユーリの髪を洗っていく。

「あーきもちいいー」

ユーリは目を細めた。

「きれーな黒髪ねん」

ベティは泡をシャワーで流していく。

「オレはお前の髪のが好きだけど」

「そお?髪はお母様譲りなのよん」

「弟もだよな」

「ん、そうねん。弟の目はお祖母様の色で、私はお父様の色なのん」

「ふーん、弟の目の色、覚えてねえ」

「あは、一瞬だったもんねえ……」

「あのさ、お前の弟…「さ!キレイになった!出るわよん」

「お、おう……」






それからベッドの上で、お互いに髪を乾かしあいながら皆の帰りを待った。


1番に戻ってきたのはレイヴン。

「おうおう、嫌だねー!甘い空気におっさん酔いそう」

レイヴンは大げさに肩を竦める。

「うらやましいんだろ、おっさん」

ユーリがにやりと笑って言った。

「みんなはまだ買い物ぉ?」

「ああ、なんかねえ、 リタっちがムキになってサイコロのゲームやってたわ」


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