シンガポールはポイ捨てに厳しい国というのはどうやら本当のようだ。



Amour Amour Amour



「着いた〜!」


ここ数日は散々海をさすらう羽目になったこともあり、やっと陸地に到着したナマエは大喜びでシンガポールの地を踏みしめた。辺りを見渡すと、楽しげに街を行き交う人々が目に映る。町は清潔で南国の雰囲気が感ぜられる。

さてこれからどうしようか、そんな話題になったところ。


「おいっ、そこの銀髪の男!シンガポールではゴミを路上に捨てるのは罰金だぞ!」


そう言いながらこちらに大股で向かってくる警官が現れた。

ポルナレフごみなんか持ってたっけ…?そう思いナマエはポルナレフの足元をみる。

その瞬間ナマエは吹き出した。


「おいっナマエ、爆笑してんじゃねーぞ」

ポルナレフがそんな私を見てたしなめる

「だって…それ…荷物なのに…ふふっ、ごみって!」

あはははと笑うとジョセフ達も声を我慢できず笑っていた。

ポルナレフはお前らな〜〜ッと顔を大きくしかめながら警官に反論した。

そんな珍事のあと、一向はひとまずホテルへ向かおうかという話になった。あの女の子もなんだかんだで一緒についてくることになった。


「うわぁ〜っ!綺麗なホテル!」


ジョセフさんがお金持ちだというのは空条家の豪邸を見てもわかるけど、こんなに立派なホテルに泊まれるとは!
内心うきうきしながら部屋を見渡す。景色は良いしベッドも広いし言うことなしである。ベッドでふかふかしたり荷物を解いたりしていると、部屋の電話が鳴った。


「もしもし?」


「ナマエの部屋か?アブドゥルだ。」


「はい、どうしました?」


「ポルナレフの部屋に刺客が潜り込んでいたらしい。刺客は逃亡したらしいがまだホテル内に潜んでいるようだから一旦私たちの部屋に全員集まろうということになった。そういうわけで1212号室に至急来てほしい。」

「着いたとたんに刺客ですか・・・。わかりました!すぐ行きます。」


「ああ、それじゃあ後で」


敵は休む暇も与えてくれないようだ。ホテルについて緩んでいた気持ちも今の電話で現実に引き戻された。やれやれ、と承太郎くんの口癖が移りながらも、アブドゥルさんとジョセフさんの部屋に向かった。




部屋に着くとポルナレフ以外はもうすでに揃っていた。ポルナレフはまだ来ないらしい。私が迎えに行きましょうかと言おうとしたタイミングで、扉が開いた。


「お、ポルナレフが来た」

アブドゥルさんが言う。


「おそいぞポルナレフ。」

花京院くんが少し怪訝な様子で言った。


ポルナレフはさっき見たときよりも疲れている様子で身体をところどころ怪我している。


「ちょ、ポルナレフ大丈夫?血出てるよ」


「ナマエだけだぜ、俺を気遣ってくれるのは・・・うぅ、つ、つかれた・・・」


そう言ってずるずると床に倒れこむようにして座った。


話によると、もうすでに刺客のスタンドと戦って倒した後だったようだった。
ナマエは救急箱から消毒液とガーゼ、包帯を取り出して、敵にやられた傷の手当をする。



「それにしても・・怨めば怨むほど強くなるスタンドなんてあるんだね。おっかないねぇ・・。」


「おかげで足をえぐられるわ卑猥な言葉を吐かれるわ散々だったぜ。」


「それはお気の毒・・・って、ポルナレフ、この足の傷に巻いてある布って・・」


足の傷を手当しようと止血のため元々巻いてあった布をほどくとナマエは顔を引きつらせた。
これはその、もしや・・・



「ダアァーーーッ!!ナマエ、これはだな」

ポルナレフはバッとナマエからソレを引ったくった。


「ポルナレフ、おまえ・・・」


花京院が若干ゴミをみるような目でポルナレフを見た。



「ちげェーんだよッ!これは敵に襲われてたまたま近くにあった布を巻きつけたらソレだったんだよっ!しょうがねーだろッ!」


「傷にパンツなんか巻くなよ汚ねー奴じゃなあ」


ジョセフは呆れた表情でそう言った。



「ちくしょーー・・あのエボニーデビルとかいう糞野郎のせいで・・・」


そう言ってポルナレフはブツブツと拗ねたように呟いた。




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