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「わぁ〜、やっとインド到着だ・・!」



Amour Amour Amour



お尻が痛くなるほど列車に揺られてやっとこさ私たちはインドまでたどり着きました。



「アブドゥル・・・いよいよインドを横断するわけじゃが」


ジョセフさんがアブドゥルさんに向かって話し始める。


「その・・・ちょいと心配なんじゃ・・・いや、『敵スタンド使い』のことはもちろんだが、わしは実はインドという国は初めてなんだ。」


へー、ジョセフさんほど世界を飛び回っていてもインドは初めてなんだ。


「インドという国は乞食とか泥棒ばかりいてカレーばかり食べていて熱病かなんかにすぐにでもかかりそうなイメージがある。」


「おれカルチャーギャップで体調をくずさねェか心配だな。」

ポルナレフが言う。



屈強な大の男2人がそんな簡単に体調を壊さないだろう・・・とナマエは思ったがあえて口にしまいと決めた。


アブドゥルさんはそんなジョセフさんの心配をよそにフフフと笑った。


「それはゆがんだ情報です。心配ないです、みんな素朴な国民のいい国です・・・わたしが保証しますよ・・・」


アブドゥルさんがそう言うなら安心だ。インドはどういう国なのだろう、わくわくだ。




「さぁ!カルカッタです。出発しましょう。」

アブドゥルさんが高らかにみんなに向かって叫んだ。





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「バクシーシ」
「バクシーシ」
「バクシーシ」
「バクシーシ」
「バクシーシ」



「ひ、ひえぇ・・・」



カルカッタの町に出た途端、私たちは現地の人たちに囲まれてしまった。それはもう地面に落ちたアメに群がる蟻のごとくだ。



インドを少し甘く見ていた。別に舐めていたとかそういうわけじゃないのだけれど、歩くだけでこんなにも四方八方から人が押し寄せて話しかけてくるとは思わなかった。



「バクシーシ!」
「タクシー、ヤスイヨ」
「ナンバーワン ホテル 泊まらない?」
「ハロー 友達 マリワナどう?」
「ねー!お兄さんたち!この織物買わない?」
「シャッチョサン みてみて!」



それぞれがいろんな方向から一気に喋りかけてくるものだからもうわけがわからない。
大男ばかりの一行の中で唯一の女性のナマエが目立つのか、それとも単に外国人女性が物珍しいのか、インドの男たちが無遠慮にジロジロとナマエに視線を送る。


イ、インドこわい・・こわひ・・・


さっきまでの期待する気持ちはどこへやら、完璧に腰が引けたナマエは思わず一番近くにいた花京院の腕を掴んだ。誰かに掴まっていないと、あまり背が高くないナマエはいとも簡単に人の波に流されてはぐれてしまいそうだった。


「ナマエさん、大丈夫ですか?」


「う、うん・・・ごめんね、今だけ掴まらせて。」


初めての国で異国の男達に囲まれて恐がっているのだろう。
びくびくと自分の腕にすがり付いてくるナマエ。そんなナマエを見て鼓動が高まるような感覚に襲われる。


「いいですよ、気にしないで下さい。」


「ありがとう花京院くんー!」



「おいッ!花京院そのポジション俺と変われ・・・ってうえぇ〜〜!牛のウンコをふんずけちまったチクショー」

ポルナレフが苦々しい顔で靴の裏を見る。


「そんな事いってるから・・・って、あれ・・・ぼくもサイフをいつのまにすられてしまったようだ・・・。」


「えぇっ?!大丈夫?」


ナマエは驚いて声をあげる。


一緒に歩いていたのにいつの間にスラれてしまったのだろう。あまりに巧みすぎて全然気づかなかった。



「おっタクシーがあるぞ!みんな!乗り込め!」



ジョセフさんが叫ぶ。
そして私たちはなんとかこの場から脱出することができた。









「はぁ・・インドってすごい所ですね・・」

ナマエは若干ゲッソリした顔で言った。



一行はレストランに向かい、昼食をとった後食後のチャイを飲んでいた。




「要は慣れですよ。慣れればこの国の懐の広さがわかります。」

アブドゥルさんは諭すように言った。


「なかなか気に入った。良い所だぜ」


「マジか承太郎!マジに言ってんの?おまえ」


ジョセフが信じられないような顔でそう聞き返す。親子でこんなにも意見が分かれるとは。


ポルナレフはすっと席を立った。お手洗いにいくようだった。



ナマエは甘いチャイにほっと一息つきながら言った。



「前に聞いた話なんですけど、インドって好きになってハマる人と、受け入れられない!嫌い!ってなる人が極端に分かれる国なんですって。」


「なるほどなァ〜、わしは明らかに後者じゃな。」


「そうですね、承太郎くんは前者かな?」


「そうだな。」


「そういうナマエはどっちなんだ?」

ジョセフがナマエに向かって聞く。


「ん〜〜・・・あの怒涛のバクシーシ攻撃さえなければ好き、かも」


「器がでかいなお前たち・・・」

ジョセフは理解できないという顔で言った。




そんな風に雑談を続けていると、突然店の奥からガラスの割れる音や破壊音が聞こえてきた。そういえば中々ポルナレフがお手洗いから戻ってこない。


もしや敵に強襲されたのではと思い、みんなで急いでポルナレフの元へ向かう。


お手洗いの前までくると、割れた鏡の前でポルナレフが立ちすくんでいた。


「どうしたポルナレフッ!!」

ジョセフさんがポルナレフに声を掛ける。



「・・・ついに!」

ポルナレフが思いつめた様子で呟く。



「何があったのポルナレフ・・?」


ナマエは様子のおかしいポルナレフを心配そうに見上げる。



「ついに!やつがきたぜッ!承太郎!おまえがきいたという鏡をつかうという『スタンド使い』が来たッ!」


その場に緊張が走る。鏡を使うスタンド使いということは、ポルナレフが探していた・・



「おれの妹を殺したドブ野郎〜〜〜〜ッついに会えるぜ!」



瞳に強い炎を宿しながらポルナレフはそう言った。いつものおちゃらけた彼の姿はない。あるのは復讐に燃える男の姿だけだ。
ナマエはそんなポルナレフを見て不安になった。何かとても危なっかしくてたまらないのだ。


胸をかすめる嫌な予感を否定するように、ナマエは自分の拳を握りしめた



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