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翌朝起きるともう日が高く登っていて、「あぁまた寝過ぎちゃったのかな…」と軽い無力感に襲われた。


Amour Amour Amour




「ジョセフさん、アブドゥルさん〜、おはようごじゃいまふ…」

まだ眠気を引きずった様子のナマエがそういいながらジョセフたちの部屋を訪れた。

「お、おはようナマエ。」

アブドゥルはそんなナマエをいささかぎょっとした顔で見てそう返した。

「なんじゃあナマエ?今起きたのか?前から思っていたがナマエはよく寝るなあ」
ジョセフは若干呆れ気味に言った。

「すみません…一度寝たらなかなか目が覚めないタチなんですよね…」

そうむにゃむにゃと答えるナマエは猫のようだ。

ジョセフはそんなナマエの頭をわしゃわしゃ撫でつつ言った。

「先ほど承太郎と花京院はインドへのチケットを買いに出掛けたぞ」

「そうなんですか…、女の子もいっしょですか?」

あぁ、とジョセフは答えた。女の子は上手く承太郎くんに着いて行ったらしい。

「わしらはこれからDIOの情報に関して調べようと思っているのだかナマエはどうする?」

ナマエはうーん…と考えて言った。

「シンガポールを発つ前に買い物に行って必要なものを揃えたいんですが…いいですかね?」

ジョセフはふむ、と言って自身の髭を触った。

「いいぞ、買い物じゃな。だが刺客がいつ襲ってくるかもわからんからポルナレフと一緒に行ってこい。」

「ポルナレフ…」

「ん?ポルナレフじゃ不満か?ワシが行ってあげたいとこだかのぅ〜〜なにぶんやらなきゃいけないことが押しててのぅ」

ジョセフがいつものおふざけ半分にそう言った。


「わかりました、じゃあポルナレフについて来てくれるか聞いてみます!」


そう言ってナマエはバタバタと部屋を出て行った。

ポルナレフの部屋の前に来てノックをする。
昨夜罰ゲームをしたあと、何故なのかはわからないけれど突然様子がおかしくなったポルナレフにナマエは内心ちょっと気まずい想いを抱いていた。


「ん?誰だ?」

「ナマエです、おはよ〜」

つとめて平静に言う

ロックが解除され扉が音を立てて開く。

「おう、おはよう・・ってもう昼じゃねーか!で、どうした?」

良かった、いつもと変わらないポルナレフだ。内心ほっとしてナマエは買い物に一緒についてきてほしい旨を伝えた。

「いいぜ、俺も買うもんあったしよ。じゃあ20分後にロビーで落ち合おうぜ。」

「ありがと!わかったー!」

そう言ってナマエは部屋に戻って出かける準備をした。

なんだ、ポルナレフ全然普通じゃないか。なんか怒らせちゃったのかと気にかけてた自分がアホみたいだ。もー人騒がせポルナレフめ。



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「わッ見てポルナレフ!マーライオンあるよ!」


「ほォ〜〜、これがマーライオンか・・・なんか予想よりちっちぇな。」



ナマエとポルナレフはホテルを出て買い物のためにシンガポール市内を歩いていた。
シンガポールの有名なマーライオンを見つけたナマエは目を輝かせていた。ナマエのシンガポールのイメージといえばマーライオンだったので、実際生で見れて喜んでいる様子だった。


「それでナマエ、何を買いに行きたいんだ?」


「えっとね、とりあえず服を買いに行きたいんだよね。」


こないだのサルとの戦いで私の数少ない服がダメになってしまったこともあって替えの服がいくつか欲しかった。ずっと同じ服を着ているわけにもいかないし。こういう時制服だったら便利なんだけどなぁ。



そしてナマエとポルナレフは最近できたらしい大型のショッピングモールに向かった。ここなら沢山のお店が入っているし大抵の物は手に入りそうだからという理由だ。
ショッピングモールは沢山の人で賑わっている。人種も肌の色も違う人の多さが、国際色豊かなシンガポールの特色をよく表している。


多くの店が入っているモール内でナマエは服をあまり吟味せず、淡々と選んでいた。ポルナレフはそんなナマエの様子を見て意外そうな表情で驚いた。普通女の買い物は長く、男はそれをいつまでも待つというのがお決まりのパターンだと考えていたからだ。

「別にそんな時間が無いわけじゃねェーんだし、もっとゆっくり選んだっていいんだぜ?オレのことなら気にしなくていいしよ。」

ポルナレフはナマエが自分に気を使って早く服を選んでいるのではないかと思い、そう言った。

ナマエはそれを聞いて違う違うとでも言う風に笑った。

「この旅はこれからもっと過酷なものになるだろうし、動きやすくて頑丈な服なら正直なんでもいいんだよね。」



ナマエは生地のしっかりしたジーンズやパンツを物色していた。そんなナマエを見て、ポルナレフはこう聞いた。

「まァそれはそうだけどよ・・たまにはスカートでも履いてみたらどうだ?」


「う〜〜ん・・でもスカートじゃ動きづらいからなぁ」


ナマエは近くにディスプレイされていたスカートをちらりと横目で見ながら言った。すごく可愛らしいデザインのフレアスカートで思わず目を引いた。

以前までの日本での大学生活であったら人並みにお洒落もしたし、化粧もした。だけど今はどこに居たって敵が襲ってくる状況だし、いつ戦ってもいいように身軽でシンプルな服を身に着けていた方が得策なのだ。だから動きやすく頑丈という条件を満たしてさえいればそれで良かった。ナマエとて覚悟を決めてこの旅に参加した以上、普通の女子だったら嫌がるであろう状況も我慢する決意はしていた。


ポルナレフはナマエの目線の先にあった展示品のスカートを見るとニヤッとし、店員の方へ向かっていった。よくわからないが何か話しかけている様子だった。
ナマエはその行動の意味が分からずじっとポルナレフを見ていたところ、ポルナレフと2言3言何か話していた女性が、笑顔でナマエの方へやってきた。手には採寸用のメジャーを持っている。

「お客様、素敵な彼氏さんをお持ちですね。」と何か勘違いされながら否定する間もなく女性店員に素早くウエストを採寸される。採寸されるとナマエのサイズに合ったスカートを店員がどこからか持ってきて鮮やかな手つきで袋に包んでいった。そしてその袋をナマエに向かって差し出した。


「えっ、あの、確かにそのスカートかわいいなとは思いましたけど買うつもりは・・」

一体これはどういうことだろう。ナマエはあたふたとして言った。


「オレが買うんだからいーんだよ」


いつの間にか横にポルナレフが立っていて、スカートの代金を店員さんに渡していた。
ナマエはそんなポルナレフの行動に大変ビックリしたのだった。


「えぇっ!悪いよポルナレフ・・!」


「いーっていーって、オレがナマエに買ってやりてーと思っただけなんだしよ。何も言わず受け取ってくれよ。」


困惑するナマエにポルナレフはニカッと笑って言った。



ナマエはそんなポルナレフを見て、彼なりに私に気を遣ってくれたのかなと思いここは素直にお礼をしておこうと思った。


「ありがとう・・嬉しい。履く機会あるか分からないけど大切にするよ!」

袋を両手で抱えるようにして持ちながらナマエは少し照れた表情でポルナレフにお礼を言った。



ポルナレフは「おうよ!」と答えた。




その後ひととおり必要なものも購入し、ナマエとポルナレフは刺客に襲われることもなくく無事ホテルまで戻ってきた。
ホテルに着くと、承太郎が指の手当てを受けていた。インドへ向かう列車のチケットを購入する途中で敵に襲われ負傷したようであった。しかも敵スタンド使いは花京院の姿に扮していたというのだからナマエは話を聞いて驚いた。花京院は自分の偽物の話を聞いて至極嫌そうな表情を浮かべた。


そして、何はともあれインドまでの切符をジョースター一行は手に入れることが出来たのだった。







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