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申し訳なさで終始謝っていた私に対して虹村くんは「おれよォ〜ああいう連中みるとよオ〜つい手が出ちゃうんだよなァ〜〜、だから気にしなくてもいいっスよ」なんて優しいことを言ってくれた。
それから何の気なしにお互いの自己紹介をしたりし、(虹村君はぶどうヶ丘高校という可愛らしい名前の高校に通っているらしい)それとなく距離を縮めた。
「ナマエさんて社会人なんスねぇ〜〜!大学生かと思いましたよォ〜」
「あはは、私高校卒業してすぐ就職したからね。大学行ってたら4年生だからたしかにそう見えるかもね。」
「へぇ〜〜ッッ!エライっすねェーー!」
「そんなことないよ、お父さんが早くに死んじゃってお母さん女手一つだったから大学行く余裕なかっただけなんだ」
そう明るく言ってナマエは微笑んだ。
「あっ、スミマセンなんか・・・」
「いいのいいの、なんだかんだ上手くやっていけてるし仕事もやりがいがあるの」
残業多くて大変だけど、そう付け加えてふふふと笑うナマエ
「・・・おれの家」
「うん?」
「親・・・いなくて、兄貴と二人暮らしなんだ。兄貴は今いないけど。・・・だから今日ナマエさんが運んできてくれて助かったッス。感謝するッス。」
「そんな・・・お礼をいうのはこっちの方だよ・・。本当にさっきは助けてくれてありがとう。」
どうやら億泰くんの家は少し複雑なのかもしれない。何か含みのある言い方だっただけに色々気にはなったけれど初対面でずけずけ聞くのもはばかられたのでそこは聞かなかった。
「くっそォ〜〜〜、あんなやつら意識そらさなきゃコテンパンに・・・」
「・・・?」
急に億泰くんは言葉を途中で止めて、私の方にぐるんと顔を向けた。そしてガシッと両肩を掴まれる。
「ナマエサンッ!!!」
「は、はいぃっ?!!」
急に肩を掴まれて大声で名前を呼ばれたのだからビックリする。
「ナマエさんッ・・・・あんた・・そういやさっき俺のスタンド見えてたよなァ・・・・?!」
「へ・・・スタ・・・ンド?」
スタンド使いは惹かれ合う引力は、もう止まらないのかもしれないback
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