胎をひらく/中島
 もしどこぞでの垂れ死ぬとしても、それは今日じゃないし、そのときがきて脳内を駆ける走馬灯が極貧生活を送ったことなんて絶対嫌。
 私は欄干に飛び乗る。たいして深くもない川だ。夕日をバックに、黒のフレッシュスーツは空気の色をみる。
「われわれが生まれおちた時、この阿呆どもの舞台にきたことに、泣き叫ぶのだ」
 低く間違っても誰にも聞かれない声で言う。橋の手すりの上を気兼ねなく歩く。
「そんなところにいたら危ないですよ!」
 いつの間にか、前髪をアシンメトリーにした白髪の青年が私を見上げていた。

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初出 2016
たしか血界戦線とのクロスオーバーで書いていたものです。過去ログの芥川の話と同じ軸の話で、夢主は人狼です。
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