真夜中が動くとき/承太郎
※未完
※花京院の妹を捏造

 興味の境――あとに花京院くんのことを思い出して、あれこれ勝手に想像の輪にはまるのが嫌だった。
 もともと家が隣同士なのと、親同士が仲がよくて、彼とは幼馴染という関係が保たれていた。親から兄妹の様子をしょっちゅう伝え聞いていた。同い年の花京院くんとは小学生のときはそうだったけど今はわざわざ学校に来てるかって確認するほどでもなし、廊下ですれ違ったら目で挨拶したり話したりする程度の仲だった。
 そんな花京院君はエジプトで最期を迎えたという。
 私が彼と話したのは、回覧板を彼の家に届けたのが最後だ。
 たしか二月の中旬で、家まで来ていた彼のファンに代わりにチョコを渡してほしいと頼まれた。それが面倒くさくて好きなら自分で渡せばいいと言って、私がインターホンを鳴らすと、女の子はたじろいで私に丁寧にラッピングされたチョコを押しつけてどこかに行ってしまった。
 玄関口に出てきた花京院君に、起こったことを説明して回覧板とチョコを渡す。
 用は済んだかなと踵を返しかけて、私は「チョコは来週買いに行く。会えないと思うからお母さんに渡しておいてもらうね。じゃ」と彼に手を振ったのだった。これが別れだ。
 もはや儀礼に過ぎないデパ地下のチョコを彼が食べたかも定かでない。
 花京院くんの妹と話すのは久しぶりだった。年が離れていて、これといった共通の話題もないから成長するにつれて自然と話す機会が減っていた。お葬式から数日後、彼女から、「空条さんに兄の話を聞こう」と持ちかけられたとき、私は空条さんのくの字も知らなかった。彼の特徴を説明してもらって、そういえば、斎場に長ランの学生らしくない、高身長のやたら目立つ人がいたなとぼんやり思い出したくらいだった。
 やることが全部片付いて、やっと話を聞きに行くことになった。私はその間待っているだけだったが、余計考え事をする時間が増えて話を聞こうか聞くまいか、いや行くって言ったもんなとどんより自問自答を繰り返した。花京院君の死から一ヶ月が経とうとしていた。
 空条承太郎さんは、どう見てもワルいことをやっている見た目、聞けば190はあるらしい身長と帽子のつばの影から覗く目が威圧的で、この人に話を聞こうとする妹ちゃんは勇気の塊だった。
 庭付きの平安時代みたいなばか広い屋敷に通されて、毛羽立ちのない青々とした畳に腰を下ろす。空条さんのお母さんがお茶とお菓子を出してくれた。
 その場にいたのは、なぜか妹ちゃんと私だけだった。あとで聞くとそういう条件だったそう。
 彼の話は白昼夢だった。スタンドと呼ばれる精神エネルギーを具現化させて戦っていたと言われましても。地球の裏側で起きた出来事を私はよく飲み込めなかった。妹ちゃんは真剣にひとつずつゆっくり話をかみ砕いてときどき兄は元気でしたかとか楽しそうでしたかとかそんな質問をしていた。信じるしかなかったのだろう。これは大の大人、花京院君の親が聞いたら、そんな非現実なと間違いなく言いそうだ。でも、もしかしたらもう大人は知っていることなのかも。彼の死からまだ一ヶ月しか経っていない。私にはわからないスタンドと旅の話は彼の死の実感をより遠く思わせた。海の音を閉じ込めた貝殻で海を想像しようとしている気分だった。





このあと女の子が数年越し(4部前)に承太郎に出会ってスタンドの使い方を教えてもらうっていう続きがある
女の子は真夜中にスタンドを無意識に動かしてて脳が全く休めておらず、不眠症になってる
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