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昨日は全然ねられなくて、おかあさんにお布団をかぶせてもらったらすぐ夢の中だったからふしぎだ。
7時にちゃんとおきた。あさごはんはふわふわのパンとハムエッグとサラダ。はやくみんなにあいたいな。幼稚園もハロウィンも逃げないよっておかあさんが言う。ごくごく牛乳を飲み干していそいで歯をみがきにいく。
わたしは魔女のおようふくを着て意気揚々と車に乗った。かばんは一番好きなファミリアのくまちゃん。
パパが信号におこることもなかった。いいひだ。
幼稚園にはもうライチとディタがちょうど靴箱のところにいた。
ライチは妖精さんで、ディタがヴァンパイア。
ディタはママにまっ赤な口紅を塗ってもらっていた。
「見て。羽つけてもらったの」
「すごくにあってる!」
ライチがくるっとその場でまわってシフォンのスカートが揺れた。
先生に手を引かれて二列になった。わたしはライチとディタの後ろにならんだ。
おくれてやってきたソーホーがわたしのとなりにきた。
ママがね、寝坊しちゃったンだってほおをふくらませるソーホーがかわいい。彼は丈の長くて白くて裾がびりびりのワンピを着ていて、頭にはもやみたいな、わたとフリルとビーズのついたカチューシャをつけている。わたしがいちばんすきなのは黒と紫のしましまのタイツだ。先生がみんながそろっているか確認して、おかしハントにでかける。
今日はみんなそれぞれ、わるいおばけで、わるい魔女で、かわいい妖精もいて、キバのするどいヴァンパイアなの。大人だってはだしで逃げ出すわるい子だ。おかしくれなきゃいたずらするぞ!
『昼下がりのおばけたち』