「あっっ……!」

「うぇ…、」


いつもと同じ朝のこと。

僕はいつもならもうちょっと布団からはなれようとせずにねばるとこなんだけど、今日は素直に起きました。

なんでかって言うとヒロトがなんだかよくわからない凄い声をだしたからでした。


「な、なに…?」

「……ちっ」


突然の舌打ち。寝起きの僕にはなにがなんやら訳がわかりません。いつもよりちゃんと起きたのにどうして舌打ちされたんでしょうか。


「…はやく、学校行く支度してよ。」


心なしかヒロトのトーンがくらいです。いや、暗いんじゃなくって怒ってるんです、僕にはわかります。幼なじみですから。いつも、毎日怒られてる僕ですが、これはいつものため息混じりに怒るヒロトではなくガチで怒っているのがわかります。こういう日のヒロトは手がつけられません。恐いです、僕以外にとびきり優しくなりますからね。


さっさと支度して学校に行きます。


「……乗って。」

「……、」


わかってるよ、いつもならそう言いますよいつもならね!駅までの距離でいつもいろいろ見る景色。焦っている人や、元気なスポーツ少年、かわいい女の子、綺麗なおねえさん。昨日まで咲いてなかった花が咲いてたりしてね。いつもならば、「あ、ヒロトさんあそこにお花が咲いていますよ。」「あ、本当ですね士郎さん。」「きれいですね。」「そうですね。」等といった会話を交わしているはずなんですが、今日はどれも色褪せて見えてそれどころじゃないんですね、はい。








満員電車の中で、やっぱり毎朝のごとくいるのが痴漢だ。あー、この眉間のシワをどうにか学校につくまでになくさなくては。息の荒い新社会人。その若さで痴漢か。むしろ若いからか、毎朝まいあさどいつもこいつも、人の幼なじみに盛りやがって。今日の俺は、機嫌が悪い。痴漢のお兄さん、悪いね。

ぐっ


「………ぅわ゙っ」


ばっちり、俺と目があった幼なじみに盛っていた痴漢のお兄さん。ごめんね、の意味を込めて微笑んだ。笑顔にちゃんとなってるかどうかわからなかったけど。これで少しは俺の気持ちも晴れればいいんだけども、やっぱりまったく晴れない。いつもの癖で時間を確認しようと袖を捲ろうとするけれどもあぁ、だめなんだったと思い出して俺の気持ちはますます曇る。放課後にでも、時計屋にいこう。

士郎め、よくも俺の大切な時計にアッパー食らわせてくれたな。この時計とは、長い付き合いなのに。どうしてくれるんだ。まぁ、どうせ士郎のことだからどうしてくれるんだって言ったところで僕もおんなじの持ってるからヒロトにそれあげるよ、僕あんまり時計とか使わないしとかなんとかへらへらしながら言ってくるに違いない。そういう問題じゃないんだ、まったく。




まぁ、なんだか知らないけど今日の士郎はおとなしいのでとりあえず怒らないでおこう。





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