マタニティー1
「おーい、ヒロトいるかぁ?」
「あれ、円堂くん?どうしたの。」
「あのな、お前に話があるんだ。」
「俺に?」
突然あらわれた円堂くん。そういうと後ろを振り替えって叫んだ。
「こいよ、吹雪!」
…………。
そう叫んだものの、静まり返った部屋の中。誰もいない?
「なにしてんだよ、吹雪。」
少し怒った口調でいう円堂くん。ぐいぐいなにかを引っ張っている。
「よ、よしてよキャプテン…」
「吹雪くん?」
「あっ、えと…」
円堂くんにぐいぐいと引っ張られて姿を現したのは吹雪くんだった。二、三ヶ月ぶりに見た吹雪くん。少し、痩せた?
「ヒロト!」
びくっ
「突然大きな声出さないでよ…。驚いた。」
「あのな…」
「…うん。」
すごい剣幕で吹雪くんの腕を握ったまま俺を見つめる円堂くん。
「キャ、キャプテン!!本当にいいからっ」
「吹雪が妊娠…」
「キャプテンっ!!本当にいいんだってばっっ!!」
吹雪くんの大きな叫び声。それによって遮られた円堂くんの声。だけど、聞こえた。吹雪くんが妊娠ってのが。
「妊娠してるの…?吹雪くん。」
そういうと、痩せて見えた吹雪くんは顔を真っ青にさせてなんだかすごく病弱に見えた。
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