パラレル
高校パロ






「ごめんなさい、基山ヒロトくん…。」


ベッドにぽすんと足をおって座ったまま吹雪は後ろめたさと罪悪感にまみれた謝罪をつぶやいた。

自分と同じようにぽすんとベッドにたたずんでいる黒縁の眼鏡に。

部屋中にたちこめるザーメンの香りが更に吹雪の罪悪感を煽った。真っ黒いはずの眼鏡の縁は白いそれがべとべととついて真っ白になっていた。罪悪感に苛まれながらも明日にはこっそりと、基山ヒロトの机に返すのだと思うと吹雪は興奮していた。


そう、今ザーメンをぶちまけられている黒縁の眼鏡は隣のクラスの学級委員、基山ヒロトのものだった。吹雪はどうしてもこの眼鏡が欲しかった。入学式の日に初めて眼鏡をかけたヒロトの姿を見たあの日から。


基山ヒロトのクラスの担任は文学の教師だった。その日、文学を選択していた吹雪は今がそのチャンスだと思っていた。なぜならばその日は、文学を選択していた吹雪がヒロトの席に座る事が出来る日であるからだった。だが、それだけではなぜその日がチャンスなのかわからない。実はその日のその時間、基山ヒロトのクラスは体育の授業があった。基山ヒロトが体育の授業の間、眼鏡を机の中にいれるのを少し前から吹雪は把握していた。だからこそ、今日はその絶好のチャンスだったということだった。もちろん、吹雪は眼鏡を手にいれることに成功した。眼鏡がないと困っている基山ヒロトを見た時には少し後ろめたさが芽生えたものだが、明日必ず返すのだからと自分に言い聞かせてバレない様にと鞄に入れては眼鏡が大変だと内ポケットに必死に隠して帰ったのだった。



今日のオナニーを吹雪は一生忘れないだろう。はあ、はあんっ、これ基山くんの眼鏡だぁっ、はぁっはぁっ。基山ヒロトの眼鏡を自分がかけているだけで、目のいい吹雪には度の入ったレンズは視界がぼやけて視界を基山ヒロトにジャックされている気分になり吹雪の興奮は絶好調だった。もちろん、吹雪の右手と仲良しのそこも。





返さなければいけない、この、眼鏡を。翌日、再び選択の授業の今、吹雪を自分の欲望と葛藤していた。かえさなきゃ、かえさなきゃいけないのに。また、この基山ヒロトの眼鏡でオナニーしたい、欲望が吹雪の返さなければいけないという良心を躊躇させる。そうこうしている間にも、刻々と授業終了のチャイムが近づいていた。


それでも、昨日のオナニーの気持ちよさは吹雪には手放せないモノがあった。今かえしてしまえばもう二度と触れることの出来ないであろう基山ヒロトの眼鏡。いやだ、返したくない。もっと基山くん(の眼鏡)とえっちなことしたい…。吹雪の葛藤は続いた。授業終了のチャイムが鳴り響き終わった今も。



「それ、俺の眼鏡だよね?」







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