capricco


 放課後は自由だと、いう者がいる。
 しかし僕はそんなことを考えたことはなく。
 自由という空箱に詰め込むだけ中身を詰め込んで、それをまた割り振るだけの簡単な仕事を学校が終わった今もこなすのだった。

「青引、帰ろうぜ!」
 僕の視界に入ったのは、ボストンバッグを肩から下げた兄の姿。サッカーで転んだのか、右の頬に土の跡があった。
 僕は机の中に先ほどまで読んだ「幸福論」を仕舞い、重い鞄を手に立ち上がった。

「そういや、明日の三限は英語の小テストだったね」
 僕からの話題提供はいつだってこんな調子。いい天気ですね、とか、今日の晩御飯何かなあ、とかいった話題は出てこない。
「そっか、知らねえや」
 兄はそんな脳天気かつ不吉なことを口にした。
「知らないって……アンタさぁ」
「なあ、それよりアイス食わねえ? 新作出たんだよなーチョコミントのやつ!」
 僕の苦言もどこ吹く風、兄は意識を帰宅途中の商店街に向けた。毎度毎度アイスばかりで腹を壊さないのかと不安になってくる。
「今じゃなきゃ、だめ?」
 半ば溜め息混じりに僕は訊いた。兄はすかさず首を縦に振る。そーですよね。

「あ、でも明日割引の日なんだよなー。やっぱ明日にする!」
 兄は三秒前の己の発言をいとも容易く撤回しやがった。
 僕としては明日のテスト勉強の時間が増えて嬉しい限りだが。

 全く、何を考えているのか予測できない。
 けれど、それがまた面白い。

 只今気紛れ注意報発令中!


(Take free for Kuro-san)



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