憎まれ口と甘い嘘 *02/14 23:00
ステサンのバレンタインのはなし
いけない、脚がしびれてきた。
しかし立てない、立てる空気ではないことは俺はよく知っている。
「ねえステラ、これ説明してよ」
にっこり微笑むミウンはとてもご立腹。矛盾してる? あいつは何時だって笑顔で俺を苛めてくるんだ。
「えと、あの……ごめん、な、さい」
「謝る前に、説明して」
一オクターブ低い声音で弁明を促され、俺は空になった皿を恨みながらつい15分前のことを思い出した。
そのとき、俺はむちゃくちゃに腹が減っていた。
ミウンのとこに遊びにきたときにリビングに置かれたココア味のドーナツはきっと俺のためだと疑わなかった、疑えばよかった。
「あれは俺のだったのに。折角兄さんが買ってくれたのに」
頬を膨らませて怒りを露わにしている。ご機嫌をとらなくちゃ。
「ミウン、悪かった。こっち向いて」
目元が潤んでいる。泣かせてしまったらどうしよう。
「ミウンったら」
うるさい、とトゲのある一言と共に頬を抓られた。痛いよ。
「勝手にみんな、食べないでよ。ずるい、ステラ」
折角、一緒に食べようと思ってたのに。
そう言われたら余計に水増しした罪悪感。ごめんねほんとにごめん。
「責任、取ってよね」
この台詞は、まさか。
予想を当てたように、ミウンは俺の膝に腰を下ろして向かい合わせに座る。
「今から、デスカ?」
「じゃあ1ヶ月待つ? ホワイトデーまで」
それは出来ない、と返したらにっこりと天使の笑みに加え、我慢できないんだ、と揶揄された。
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私のなかではミウンくんは誘い受だと信じてます