▼ 01/14 (17:14)

本日も晴天なり。雲一つない青空を見上げる。
絶好の釣り日和だなぁなんて考えながら、今日も私は窓際一番後ろの席で釣り糸を垂らす。





「何してるの?」
「え?」
「何してるの?」
「雑誌読んでる」
「いや…だって…」

友人は怪訝そうな顔で私の机の上に広げられたファッション雑誌を指差す。

「全然めくってないじゃん」
「雑誌は広げることに意味があるのじゃよ」

仰々しく言うと何かの格言に聞こえなくもない。…いや、こんな煩悩まみれの格言などあるはずもないが。

「…釣り、かなぁ」
「は?」
「今日は釣れるかなぁって、釣り糸垂らしてボーッとしてる」

何ソレ、どういう――友人の言葉は溌剌とした少年の声に掻き消された。

「お、また読んでんのか」

待ち望んだ声にドキンと大きく高鳴る私の心臓。

「う、うん」
「毎号毎号、ほんと好きだな」
「うん」
「ふ〜ん…」

焼きそばパンを頬張りながら、背後から雑誌を覗き込む気配がする。

「これとか、いいな」

そう言って彼が指差したのは、爽やかなマリンブルーと白のボーダーワンピ。
青色好きだよね、不十山。

「ホントだ、可愛い!」
「おまえに似合うんじゃねーの」
「え?」

驚いて顔を上げると、彼は既に雑誌に興味を失ったのかそのまま自分の席へとスタスタ歩き去ってしまう。

「…ふうーん、釣りねぇ」

残されたのは、前の席で頬杖をついて一部始終を見守っていた友人のニヤケ顔。

「で、本日の首尾は?」

そんな分かりきった意地悪な質問をするものだから、私は赤くなった顔をぷいっと逸らして窓の外を見上げた。


「……大漁」

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デート時のファッションチェックの台詞から妄想を膨らませたもの。
不十山さんに雑誌を覗き込まれるクラスの女子Aになりたい。



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