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中に入れば、売店で買ったご飯を食べていたパウリーが***達に気付き、食べる手を止めた。
見慣れたメンバーの中に見たことのない子供がいて首を傾げる。
艶のあるサラサラとした***の黒髪とは対称的に、癖のあるフワフワとした栗色の髪は柔らかそうだ。
クリクリとした瞳は不思議な輝きを秘めたペリドット。
「よう、遅かったな。先に食ってるぜ。」
『こんにちわ、パウリーさん!』
「おう。所で…ソイツは***の友達か?」
『あっ…彼は…』
『オレ、○○○!』
「ほー、○○○か。見ない顔だが、どこに住んでんだ?」
『オレ、此処に住んでないよ?』
「じゃあ観光か?」
『オレ、この島についてキッドと一緒にいたんだけど、キッドと逸れちゃって……。』
「なんだ、迷子かよ。」
カクと手を繋いだままパウリーと喋る○○○は随分と打ち解けている様子。
不意に零れた小さなクシャミで○○○がずぶ濡れなのを思い出したカクは、一先ず着替えさせようと思ったのだが、生憎ここには屈強な船大工しかいない。
とてもじゃないが、○○○のような小さな子供の服など存在しないだろう。
ふむっ…と一人唸っていると後ろからやってきたルッチがカクの着ていた上着を軽く引っ張った。
「お前の上着を貸してやったら良いだろうっポー。」
「そうじゃな。○○○、こっちおいで。」
『??』
カクがチョイチョイと手招きをすると、今までパウリーに向いていたペリドットの瞳をカクに向け、素直に歩み寄ってくる。
そんな○○○に視線を合わせるためにしゃがんだカクは、上着を貸すから服を脱ぐように伝えると一瞬迷うように視線を泳がせたが、すぐにコクりと頷いた。
さっそく服を脱ごうとしたのだが、何かが引っ掛かったようで首の辺りで服が止まった。
必死にジタバタと暴れるのだが、取れる気配はない。
見兼ねた***が脱がすのを手伝うと漸く上着が脱げた。
そして露になった○○○の細い首に着けられた赤い首輪。
ひどく悪趣味なソレに思わず顔が引き攣った。
「のぅ、○○○…。」
『?』
「その首輪…どうしたんじゃ?」
『あ、これは…。』
「良い趣味だっポー。」
「は、ハレンチだ!」
「黙れアホ共!○○○の声が聞こえんじゃろうが!」
「ンマー、なんの騒ぎだ?」
「あら、***。今日もご苦労様。」
『あ、カリファさん!』
ワイワイと騒がしい集団に更に人が加わって収集がつかない状態になってきた。
ギャンギャンと騒がしい集団からソロリソロリと抜け出した○○○は、少し離れた所にチョコンと座り持っていたリュックからお弁当を出して一人モシャモシャと食べ始めた。
上半身裸のままで。
良い意味で素直な○○○は自分の食欲には実に素直だ。
それに気付いた***が慌ててカクから上着を預かって、モリモリとお弁当を食べていた○○○に着せた。
食べているお握りを決して離さず、食べる事のみに集中している○○○は***にされるがまま。
漸く着替えさせたと思ったら、今度は○○○の頬についたご飯粒に気付いて、思わず笑ってしまった。
『○○○さん、ほっぺにご飯粒がついてますよ。』
『え?どこ?』
『此処ですよ。ほら、取れました!』
『ありがとう***!』
『いえいえ。……へ?』
パクっ。
まさにそんな効果音が似合う。
***が取ってくれたご飯粒を、あろうことか***の指ごとパクリと口に含んだ○○○は、その後何事もなかったかのように食事を再開する。
ビックリしたのは***とカク達である。
子供特有の微笑ましい行為に見えるが、何だか釈然としない。
ルッチにいたっては○○○に殺気を飛ばしそうな勢いで睨んでいる。
「ルッチ、おぬし子供に殺気なんか放つなよ。」
「なんの事だっポー。」
「セクハラだわ、ルッチ。」
「なぜ俺が…!?」
「ンマー、子供同士の可愛い行動だ。いっそ2人とも飼いたいな。」
「やめてくださいアイスバーグさん!ハレンチです!」
『あ、あの…○○○さん。』
『?』
『○○○さんの所では、その…さっきのような事は普通なんですか?』
『ご飯を食べた事?うん、普通だよ。キッドとかキラーがね、ご飯粒とか取ってくれるんだけど…キラーは仮面着けてるし、キッドはオレの食べかけなんか食いたくないっ、オレが食べろって言うから…。』
「なぁ、ちょっと気になったんじゃが…そのキッドとやらは、本当におぬしの親か?」
『親?違うよ。キッドはオレの飼い主!』
「か、飼い主!?ハレンチだ!」
「お前の思考がハレンチなんだっポー、パウリー。」
「そうじゃぞパウリー。○○○はまだ自分がペットとは言ってないじゃろう。」
『オレはキッドのペットだから!』
「ンマー、良い趣味だ。」
「ハレンチーー!!」
「うるさいぞ、パウリー。少しは静かに出来んのかっポー。」
『わー!?大丈夫ですかパウリーさん!』
ハレンチハレンチと顔を赤くして喚くパウリーに眉を寄せたルッチが、持っていた金鎚でパウリーの頭を叩く。
実に痛そうな音がしたが、殴られ慣れているのか倒れ込むまでいかなかったパウリーは、ある意味すごいと思う。
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