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「お兄ちゃん、肩に木クズが…」

「で、なんでもう普通になってんだ***−!!」

「いえ、慣れると案外気にならないと言いますか」

「それはそれでつまらんが、もっと呼んでくれ***、なあなあ」

「ひゃああ、お兄ちゃんくすぐったいですっ」

十近く離れているとは言え、本物の兄弟に見えないこともない二人はきゃっきゃとじゃれあっている。じゃれあっているだけなら良いのだが、時折パウリーやルッチの方に顔を向けては不敵に笑う兄貴分に弟分が気付く気配は無かった。

「あーワシの弟分、おっと弟じゃな。ワシの弟は本当に可愛いのう!」

「えへへへ、なんだかぼくも本当に兄弟ができたみたいで楽しいです」

「そうか?ならこれまで以上に***のことをしっかりと守らんとのう。
悪い虫でもついたら大変じゃからな」

「待て待て待て、そこでなんで俺も睨まれてんだ」

「パウリーはのう…おぬしはムッツリじゃから…」

「むっつり?」

「ほれ見ろ!!おぬしのせいで、早速ワシの弟がよからぬことに興味を持ったぞ!!」

「ルッチいいいいこいつの鼻折ろうぜええええ」

「クルッポー、よしきた」

とは言うものの、実際はカクが***を膝に座らせたままなので手を出すことは叶わないわけで。
そのことを見越したうえで挑発してくるカクに心底イラッとさせられながらも、やはり拳を振り上げるわけにいかずにギリギリと歯噛みするばかり。

「おぬしら睨んでおらんで飯を食わんか。昼からばてたらどうするんじゃ?なあ***」

「あの余裕の態度が激しく腹立つ」

「今すぐ心臓麻痺になれば良いっポー」

「お兄ちゃん、また好き嫌いするとブルーノさんに叱られますよ?」

「そうじゃのう、***が食べさせてくれたら食える気がするんじゃが」

「「うぜえ!!」」

それを聞けば行動に移ってしまうのが***なわけで、したり顔のカクにルッチとパウリーの我慢が限界に近付いた時、ハットリがルッチの肩から音も無く空に飛び立った。

ぱく

「「「あ」」」

「クルッポー!」

「ハットリさんもお腹が減ってたんですか?」

「ポー!クルックー!」

口を開けていたカクの顔の真ん前に降り立ったかと思うと、***が差し出していた箸にぱくり。
小さなくちばしをもぐもぐ動かし、***の言葉にも羽をびしっと決めて返事を返した。
そして口を開けたままで呆けていたカクを振り返り。

どやあああっ

「こ、こやつ……っ!!」

「ルッチさん、ハットリさんのお昼ご飯ってありますか?」

「!(こくこく)」

ハットリ用に用意されていた昼食を出して見せたルッチに、***はカクの膝からするりと下りてそれを受け取った。
あ、あ!とカクが呼び戻そうと腕を伸ばす頃には、すっかり***はハットリとのほのぼの空間に。そんなカクをまたハットリがちらりと振り返り、先程以上に輝いたドヤ顔を決めて、器用にニヤリと笑って見せた。

「まだ『お兄ちゃんのお嫁さんになる!』って言ってもらっておらんのに!!」

「よしよし、もうツッコミは後にしてやるからとりあえずそこ動くな」

「………(ゴゴゴゴゴ)」

つまらーん!と言い残して一目散に逃げ出したカクを追う二人の背中を見送りながら、ハットリは満足そうにまたくちばしを開けた。
その日の晩も店の中では常に***の肩にハットリが止まって、予想外の小さなボディガードに苦戦を強いられるカクの姿があったとか。
ちなみにその間ルッチは始終無言を貫かざるを得なかったわけだが、ハットリを責めるわけにいかない彼はひたすらに一人寂しく酒を煽っていたとかいないとか。


ブラザーコンプレックスランチタイム!



※リクエストについてはトップのinfoにてご確認ください。
あとがき
「少年とカクさんでいちゃいちゃ話」
34300を踏んでくださった和泉様へ捧げます!
おそらく1万単位のもの以外では最初で最後のキリリクになりそうです…。
どこにもキリリクについて明記していなかったこちらの不備でしたので、がっつり書かせていただきました。
…それにしても、あんまり二人がいちゃいちゃしていないという!!どうしてこうなった!管理人の実力不足ですね申し訳ありません!…い、いまいち甘いかどうか微妙な微糖ものになってしまいましたが、この度はご報告&リクありがとうございました和泉様―!


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