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思った通りのことを口に出すと、ぎしっと音を立ててきしむスプリング。
わ、と声を出すよりも先にベッドに上がったカクさんに力いっぱい抱きしめられて、嬉しいやら苦しいやら驚くやら。
ハルア−ハルア−!と何度も名前を呼んで頬ずりするカクさんに、こちらももう訳も分からないまま、カクさーん!と呼んでぎゅむぎゅむ。
…翌朝思ったんですけど、きっとあれを夜中のテンションって言うんでしょうね…。恐ろしい…。

そうしてしばらくお互いぎゅむぎゅむと抱き合っていましたが、そうじゃ!となにやら嬉しそうな声に顔を上げると、暗い闇の中でも分かるほどにきらきらしたカクさんの目が。

「行くぞハルア、真夜中の空中散歩じゃ!」

「え、今からですか?」

「今から行かんでどうする?さあ舌を噛むなよ!」

「え、わ、でもさすがにあぶなんんんんんんっ」

もちろんぼくは「危ない」と言いたかった訳ですが、ぼくを抱きしめたまま窓を開けて、楽しそうに笑って外へ飛び出したカクさんのおかげで訳の分からないことを言ってしまいました。(あぶなん…?)
言われた通り舌を噛まないようにとっさに歯を食いしばり、交互に訪れる浮遊感と着地の衝撃になんとか慣れたころ、目を閉じていたぼくの頭をぽんぽんと叩く優しい手。

「ハルア、ほれ上じゃ!」

「う、うえですか?」

「さーあワシとハルアの独占じゃぞ!」

指さされた頭上を向き、目に飛び込んできたのはもちろん夜空。

ただ、それは今まで見たことのないような空。天や宙と言った方が正しいような、そんな空でした。
示し合わせたようにお月様はまんまるで、その周りをどこまでも囲うように大小の星が数えきれないほどに。
エニエスロビーからこちらに来てから、何度も何度も夜空を見上げたはずでしたが、あまりにも圧倒的な光の数に思わず目をこすってしまいました。

「すごい…!カクさんすごいです!なんだかとっても空が近い気がします!」

「そうじゃのう、そりゃあ普段よりかは近いからな」

「?」

「ワシの特等席。ハルアには特別におすそ分けじゃぞ?」

「カクさんの特等席なんて光栄です!」

「あーハルア、下は見ん方が…」

カクさんがそう言うのと、ぼくが下を見てしまったのがほぼ同時。
そして更に同時に、ぼくの心臓がでんぐり返りを見事にきめました。

「……………ひゃあ」

「一声か!いや逆に大丈夫か!!」

ブルーノズ・バーからしばらく移動しているとは思っていましたが、場所はガレーラ1番ドッグ。
……の、巨大クレーンのてっぺん。
そこに足をぶらつかせて座っているカクさんと、その足の上に、腕で支えられながら座っているぼく。
一歩どころか数センチで確実に全身粉砕骨折コース…いえ、その前に体が…むむむ…。

…空が近いはずですよね。二つの意味で。

「ハルア!?おいおい聞こえとるか…って寝とるし!!いや失神かこれは…?」

消え去っていたはずの眠気(もしくは本能による強制シャットダウン)に負けて、あっけなく意識は本物の闇の中へ。
その後見た夢の中では、なぜかキリンさんの頭に乗せてもらって夜空を眺めていました。
今度はキリンさんは喋ることはなく、じーっと二人で黙って夜空を見上げていました。

「仕方ない、とりあえず部屋に戻して寝かせておくか…。

…しかし我ながら苦しい言い訳を…。

ハルアに誕生日を祝ってもらうのが朝まで待てんかったから、部屋にまで行ってしもうたなどと誰が言えるか…!!我ながら女々しいのう…」



8月7日・AM00:00の夜空
Happy BirthDay
Dear.kaku!!




「ひゃあああ朝からケーキを焼かなきゃいけないのに!!(がばっ)」
「ん〜朝か…?」
「あれ、ぼくの部屋?そしてカクさん!?」
「あと5分…」
「むぎゅう!」



あとがき
鼻の日でした(笑)おめでとうカクさーん!!
プレゼントに年寄り臭いものたくさんもらうんですよきっと!!←

これで2011の三職長の誕生日はおしまい…と思いきやパウリーさんをまだ祝えていないという
罠。
すいませんパウリーさん頑張りますから!一ヶ月以上の遅刻でも頑張りますから…っ!
管理人:銘


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