鰐と子供と桃鳥と19 [ 79/94 ]
*クロコダイルさんが子供と側近と海に来たようです。
「父上、海です」
「ああ」
「…ジュニア、正確にはまだホテルですが」
「細かいことを気にしてはいけませんダズさん」
「言っておくが俺は海には行かねえぞ」
「!!!?」
「この世の終わりみてえな顔してんじゃねえよ。てめえらだけで行って来い」
「ですが、俺はボスのお傍で…」
「良いから行って来い。こいつなんか簡単に波に攫われるぞ」
「…ではぼくも父上とホテルに残ります。ダズさんが海へどうぞ」
「!?」
「なんでそうなる」
「…父上は、海はお嫌いでしたか?」
「嫌いじゃねえが、やかましい場所は御免だ」
「やはりおじ様にお願いして、プライベートビーチをお借りするべきでした」
「桃鳥の管理地なんざ余計に御免だぞ俺は」
「こうなったら仕方ありません。ダズさん」
「はい、何でしょうジュニア」
「ホームセンターを探して一番大きなビニールプールを買いましょう」
「クハハハ、海に来た意味はどこに行った」
「ジュニア、それでしたらこのホテルのプールを貸し切ってしまった方が良いかと」
「おいダズてめえもか」
「その手がありました。まだ間に合うでしょうか」
「すぐにフロントへ連絡を…」
「……何しに来たんだこいつらは…」
「父上、でしたらせめて、せめてスイカ割りを」
「おいそのスイカはどこから出した」
「家を出る前に、笑顔のロビンさんにいただきました」
「あいつ……」
「どうしましょうか、駐車場に出ますか?」
「ダズ、やる前提で話を進めるんじゃねえ。やるとしてもてめえら2人でやれ」
「……ダズさん、こうなったら見事に割ったスイカを父上に振る舞うことにします。さあ、いざ駐車場へ」
「ジュニア…!ではボス、また後程」
「本当に何しに来たんだあいつらは…」
…
……
「やっと割ったのか。……真っ赤だな」
「…ダズさんにお手本を見せてもらおうとしたら、目隠しをした状態で一瞬のためらいも無く粉々にされました」
「………本当に…申し訳ありません…」
2012.7/18〜9/10で使用。
夏に妙にはしゃぐ子供+側近コンビに圧されるクロコダイルさん。海辺にお泊りに来たは良いものの、ホテルから出るのはぶっちゃけ億劫な父上。
でも人気の無くなった夜の海辺の散歩くらいには付き合ってくれそうです。
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