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「……無念…です…」

「っと…」

イスから崩れ落ちたジュニアを受け止めて、さて風呂や着替えはどうしようかと抱き上げると、聞こえて来たのは微かなドアの開閉音。
それも、なぜか玄関や裏口からではなく、ボスの書斎から。

「フフフ、お疲れ様Mr.1」

「…!?なぜMs.オールサンデーが…」

ボスの書斎に(しかもこのタイミングで)?と聞こうとしたが、彼女に続いて姿を現した人物に面食らった。

「クハハハ、お前らしくない阿呆面だな」

「い、いつお帰りに…」

「アア、予定通り18時前には」

「!!?」

そんなバカな!!…と言いたい所だが、この方ならやろうと思えばいくらでも手段はある。
どうやらパーティーのことは筒抜けだったようだが、なぜ今まで姿を現さなかったのかは謎のまま。
なぜと問おうと口を開こうとしたが、それより先にMs.オールサンデーがクスリと笑った。

「昨日、私とボスとで賭けをしたのよ。ちょっとしたお遊びでね」

「賭け?」

「そう。私は『ジュニアは待ち続ける』に、彼は『何が何でも居場所を突き止める』に」

「賭けの終了時間は6日の0時。…俺たちが書斎から出た時だ」

「結局ドローになってしまったわね」

抱きかかえたままだったジュニアの髪を撫でるMs.オールサンデーは楽しそうに笑ってボスを振り返る。
ボスは気にする風でもなく葉巻とカッターを取り出しているが、それでもこちらとしては気にすることばかりだ。

「ボス、ジュニアはあなたのプライベートに踏み入ることを嫌って…」

「全部聞こえてたさ。電話しようとするお前をチアキが叱りつけてるのもな」

「あれは私も予想外だったわね。私は探しても見付けられないと思っていたから」

火の落ち着いた葉巻をくわえたボスは、ジュニアを器用に片手で抱き上げて煙を吐く。眠ったジュニアに届かないよう、首をひねって。

「まあ、チアキにしちゃ粘りやがったな」

「…最後の最後まで、あなたのお帰りをお待ちでした」

「クハハハ、死んだ後みてえに言うんじゃねえよ」

責めるような口調になってしまったことに無言で頭を下げて、パーティーの準備のままのテーブルを片付けようとしたが、すっとボスの視線がケーキに向けられる。
ケーキの手配はジュニアと俺のパートナーが担当したが、ボスのために甘さ控えめにはしたものの、明らかに…でかい。

「ダズ、俺は一切れしか食わねえぞ」

あとはチアキとお前らで片付けろ、と言い残して、ボスはジュニアの寝室へ。

「…あれ、一切れは食ってやるっていう宣言かしらね」

「………」

「賭けに誘った私が言うのも何だけど、困ったパパさんね」

クスクス笑うMs.オールサンデーは、リボンの巻かれたナイフをケーキに入れた。
一切れと呼ぶには大きなサイズで切り取ったケーキに、ボスの名前の書かれたチョコプレートをそっと乗せる。
更にイチゴを他の部分から1つ2つ余計に上乗せして、ジュニアによろしくと言い残して出て行った。

時計の針は0時20分。

ジュニアをベッドに寝かせるボスは、たしかに父親の顔をしていた。
……同時に、悪戯が成功してニヤリと笑う子供のようでもあったが。


お互いが待ちぼうけの9月5日

Happy BirthDay
My daddy!!




ギリギリ(?)アウトー!おめでとうクロコダイルさーん!

名前変換の少なさにビックリ。ダズさんとロビンさんがジュニア呼びなせいで、2ページ目の後半に数回だけになってしまいました(汗)
クロコダイルさん!息子さんの名前連呼してください連呼!!
管理人:銘

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