行方不明の心臓3 [ 42/94 ]

「ルッチルッチ、ただいま」
「帰ったか。任務報告は済ませたのか」
「ねえどうしよう、無くしちゃった」
「…報告書をか」
「ううん、大事なやつ」
「まさか俺から奪った本」
「違う、そんなのよりもっと大事なやつ」
「お前人から盗っておいてそんなのとか言うな」
「ごめん」
「許さん」
「私の部屋の枕の下にある」
「取って来い」
「それよりさあ」
「殴るぞ」
「見付かんないの、どうしよう」
「任務先に置いて来たんじゃねえのか」
「分かんない、困る」
「よく探したのか」
「うん」
「と言うか何を無くしたんだ」
「大事なやつ」
「だからそれは何だ」
「胸にぽっかり穴が開いたみたいだ」
「センチメンタルなこと言うな。似合わねえ」
「ひどい。でもでも」
「あ?」
「でも、ホントに穴が開いちゃったの」

いつものスーツの前を開けたあいつの胸には真っ赤な日の丸。
どうしよう、まだルッチの本読み切ってないのに。
そう言って踵を鳴らすあいつに拳骨しようとしたら、見事に空ぶってマヌケだった。ああ生意気な。


行方不明の心臓


2011.7/14〜8/13で使用。
3つセットの最後にこれを持ってくる私は質が悪いですね。
残念ながら確信犯です。

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