小さな暴君 [ 27/94 ]
いきなりだけど、私は某海賊漫画の大ファンだ。
単行本は当然全巻持ってるし、映画も制覇、グッズもかなり集めてる。
かなりコアな方だと思うけど、好きなんだからしょうがないよね。
だから今日もついつい新しいコレクションを増やしちゃった。しょうがないしょうがない。
「おい、名前は」
キャラならルーキーが大好きで、前にも夢にキッドが出て来て幸せだったなあ。
まあ私、夢の中でボコボコにされてたんだけど。私の深層心理どうなってるんだろう。ドM?
「聞いてるのか」
まあ夢に見るくらいルーキーが好きな私だけど、どうやら今も夢の中にいるみたいだ。
参ったなあ、いつの間に寝ちゃったんだろう。
「いい加減にしろ、バラされてえのか」
「ちょっと黙って下さい。心の整理中なんですから!」
だってね。
さっきコンビニのくじで当てて来たローのフィギュアが動いてるなんて、もう夢でしかないでしょう。
なんという妄想。なんという願望。
ちょっとさすがに自分が信じられなくなってきたよ。
「…ROOM」
「ひぎゃああああすいません痛くないけど自分が痛々しくて泣きそうです!」
「さっきから何言ってる。名前は何だって聞いてんだ」
「はい!先ほどあなた様をコンビニのくじで引き当てたチアキと申します!」
「ああ、箱の中から見てた」
そう言って身長30p程のローは、切り離した私の腕をぽんぽんと叩いてニヤリと笑った。
やばい男前。今のニヤリは録画しないとルーキー好きの名が廃る!
って言うか、私の夢の設定どうなってるんだ。
フィギュアのローが動いてて、しかも箱の中から私のことを見ていたと言う。
能力もちゃんと使えて、さらに付属の長刀も鞘から抜けて本物みたいだ。
ここまでリアルなんだったら、ベポやシャチたちも出してくれて良いんじゃないか?眠っている私の頭よ!
「お前があの店に入って来た時から、ユースタス屋ばかり見てやがったのが気に入らなかった」
だって今回はキッド狙いだったんだもの!
入ってすぐの棚にくじの景品が並べられてて、キッドももちろんそこに並んでいた。
たしかその隣にローはいたと思うんだけど、正直キッドばかり見ててあんまり覚えてない。
「あいつはB賞、俺がA賞。それなのにギラギラと隣ばかり見やがって。頭おかしいんじゃねえのか」
「だってキッドが格好良くて、うぎゃああいででで夢なのに痛い!」
「ならさっさと起こしてやるよ。おらおら」
「いででででで」
こらこらこら人の腕を踏むんじゃありません!
そんな小さい脚なのに、なんだかみしみし聞こえるんですけど!
あと夢の中なのにマジで痛いんですけど!
さらに言うならめちゃくちゃ良い笑顔してるんですけどこのフィギュア!
「人をフィギュア呼ばわりするな」
「いでででで読心術ですか!」
「顔に出てんだ、顔に」
しこたま私の腕を踵でぐりぐりして気が済んだのか、やっと足を上げて、なぜかそのまま私の腕に腰かけたロー。
ひえええ!さっきから思ってたけど、、腕は切り離されてるのに感覚だけ伝わるから気持ちわるううう!
しかし人の腕に腰かけるローも気持ち悪いな!
まるで巨人族でも討ち取ったかのようだ。(実際はローが小さいわけだけど)
「そろそろ目を覚ませ私!なんちゅう夢を見てるんだ!」
「まだ言ってんのか」
能力で切り離されたままの腕とは反対の腕で自分の頬をつねってみても、痛さのあまり幼いころの母のおしおきを思い出しただけだった。あれは痛かった。本気で頬をちぎられると思った。
「お前が引くくじをシャンブルズで入れ替えてやった。あのままならカレー皿だったんだぞ」
「カレー皿でも良かったです!本命はキッドでしたが!」
「それが気に入らねえって言ってんだよ」
小さなローは、さらに小さな小さな手で私の腕を撫でる。
くすぐったくて笑いそうになったけど、今度は私の指を撫でていたローがそこに口付けるものだから、笑いなんてものはふっとんでしまった。
「やっと俺を見たな、チアキ」
「う、あ、わ」
「まだ夢だと思ってんなら、せいぜい俺に尽くして愛されろ」
ペイント塗装されているはずのローの目は、刀の刃に負けないくらいにギラリと怪しく光っていた。
小さな暴君を引き当てた不運と幸運
「おいチアキ、とりあえず服を準備しろ」
「ド、ドールの洋服買って来ます」
「ベッドは」
「なんとか作らせていただきます…」
「あと他の奴らのグッズは目障りだ。捨てろ」
「それだけは勘弁してくださあああい!!」
あとがき
コンビニの1番くじからの妄想でした。
我が家のローさんはまだ動き出してくれません。あれー何ででしょうね。おっかしいなあ!←
ちなみに管理人は単行本は持っていないし映画も半分程しかチェックできていません(^p^)
……ファ、ファンですよ!?大好きですよ!?
管理人:銘
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