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「ドンキホーテ、灰色は殺意ですよ。今すぐ思い直して相手を離してください」

『なんだ!色で何考えたかも分かっちまうのかい?フフフ!こりゃあ知らな…』

「良い子にしてるんですよ」

受話器から聞こえる不愉快な声を最後まで聞かず、どこかの参謀のようなことを言いながら受話器を置いてしまった。
灰色に染まっていた糸を睨むように見つめていたが、しばらくすると元の白へと戻っていった。

「これで黒になったらアウトでした。殺っちゃった、ってことです」

「へえ、そんな厄介な機能までついてやがったか」

「さっきのクザンさんの蒼碧は脱走。黄は反逆意思アリ、橙まで行くと反逆決定。
こうやって色々と細かく設定してあるんですよ」

今はチアキの指の9本の糸は全て白い。
どいつもこいつも物騒なことは考えていないらしく、その白は平和の象徴のようにも見えた。
俺のは?と聞けば、無言で左手の小指を示される。
そこに巻きついた糸も、他と変わらずに白。

「今回は平和で何よりです。前の招集の時は、あなたたちの7本が一度に紫になって焦りましたよ」

「紫?」

「派手に喧嘩したでしょう?円卓会議の最中に。あれです」

困った縁ですよ、と笑うチアキは、指の糸をいじって遊ぶ。
俺たちの小指にそれぞれ繋がったそれは、俺たちを縛ると同時にこいつ本人のことも縛っているようだ。
何度も何度も結び直すせいで、指はどれも痕や傷が絶えない。
下手をして長期間結んだままでいると、指の感覚を持って行かれるのだと呟いていたのも覚えている。
誰かに縁を無理やり結びつけることは、それ相応のリスクを負うことになる。
人を呪わば穴二つ、と俺の知らないワノクニの言葉を使い、説明されたのはいつのことだったか。

俺よりも1回りも2回りも小さな手は縁の糸にまみれて、まるで蜘蛛の巣にかかった蝶のようにも見える。
そうすると俺も蜘蛛の1人であり、こいつを喰ってやろうと狙う捕食者になるのだろうか。


「ところでサー」

「ああ?」

「たまにですね、ここの糸が赤くなるんですよ」

人が心配してやって…いや、心配ではない。あくまでこいつの能力の考察だ。
せっかく考察してやっているのに、左手の小指を示しながら見上げてくる。
そこはたしか、俺の。

「ああほら、今も」

見上げてくるチアキの顔をまじまじと眺めていたが、指に視線を移すと、たしかに糸は赤く染まりつつあった。
すぐに真っ赤になったそれを、チアキは俺に突き出すように見せびらかす。

「ぼくが赤に設定した感情、サーはご存知ですか?」

「…そうだな。俺の今の感情なら、目の前で訳の分からねえことを言うガキを躾けてやりてえ、ってとこか」

「それは重い感情ですね、指が折れちゃいそうです」

けらけら笑うチアキの頭に拳骨を落とすと、ふてくされたように俺の上着を掴む。
引き寄せられるようにかがまされ、耳元で幼い声は呟いた。

「恋心の運命の赤い糸に決まってるでしょう、おばかさん」

「…ガキが。そんな可愛らしいもんじゃねえさ、これは」

ああちくしょう。とんだ反則じゃないか。
せいぜいこの重い重い感情でその小指を折ってやろう。



きみの傷だらけの指に指輪をはめる



「おいガープ、チアキを知らないか」
「なんじゃ、連絡はつかんのか?珍しいのう」
ぷるるるる
「お、チアキか?お前今どこに」
『お目付け役の蝶は蜘蛛が食っちまった。じゃあな』
「クロコダイル!?何を言って…!」
がちゃん!



あとがき
戮兎様から「七武海のお目付け役」という、とんでもない美味しいネタを提供していただきました!
お目付け役!監視!なんですかそれたぎる…!
なぜか頭に浮かんだのが、縁結びと運命の赤い糸。
それを組み合わせて、なにやらややこしそうな能力を勝手に作ってしまいました。(汗)
こっそり恋心を抱くクロコダイルさんと、それを糸で示されてニヤニヤするお目付け役。…みたいな2人を書きたかったんですが、文章が荒ぶって何が何やら!(^p^)ヒイイイ
り、戮兎様!どうにもネタから脱線しましたが、本当にご馳走さまでした…!美味しかったです!!
管理人:銘


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