パウリーさんと雨宿り [ 90/94 ]

*パウリーさんと少年の雨の日


ばしゃばしゃばしゃ
「お、ハルア。お前も雨宿りか」
「パウリーさん!そうなんです、いきなり降って来ましたね」
「今日雨降るなんて言ってたか?」
「今朝の気象予報局の放送では降水確率70%でしたよ?」
「マジかよ聞きそびれた…!…っておい待て」
「はい?」
「それを聞いてたお前が、なんでびしょ濡れでこんな所で雨宿りしてんだよ」
「えへへ…。実は朝からブルーノさんが図書館に出かけていていたんですが、傘を忘れていたようだったので届けに行った帰りでして」
「…ブルーノに傘持って行ったのに、自分の分忘れたってか?」
「ついうっかり。ちゃんと自分の分も持って行けば、パウリーさんも入れてあげられたんですが…くしゅん!」
「あ、バカ!もっとこっち寄れ」
「わ。ぼくビショビショなんで、くっつくとパウリーさんも濡れちゃいますよ」
「俺もお前もたいして変わらねえよ。ほら、お前が風邪ひくと色んな奴がうるさいんだよ」
「むむむ…!では失礼して」
「おう、ひっついてろ。俺もこの方があったけえ」
「ぼくもあったかいです。気温は暖かくなってきましたが、雨はまだ冷たいですもんね」
「雨、やまねえなあ」
「やみませんねえ」
からからから
「あら、あんたたち雨宿りかい?悪いね気が付かなくて」
「いえいえ、こちらこそ軒先をお借りしてしまって」
「悪いなばあさん、小降りになったらすぐ行くからよ」
「何言ってんだい。弟もいるのに風邪でも引いたらどうするの。傘貸してあげるから早く帰りな」
「おいおい、俺とこいつでどう見たら兄弟に見えんだよ」
「ふふふ、パウリーさんと兄弟は初めて言われましたね」
「ああ、確かに言われてみれば全然似てないね。主に可愛げっていう点で」
「そうですよねえ、パウリーさん可愛いですもんね」
「「は?」」
「え?」
「…お前、今のはさすがにボケだよな?」
「ボケ?あ!でももちろん可愛いよりも格好良いが勝ってますよ!」
「…金髪の兄さん、苦労するね?」
「あー、慣れた…か?」
「な、なんですか…!?」
「いやいや、ああもう傘貸してあげるからさっさと帰りな。悪いけど1本しか無いから我慢しておくれよ?」
「良いんですか?助かります」
「よし、雨足も衰えねえし、今の内に行った方が良さそうだな。サンキューな、ばあさん」
「気を付けて帰りなー」
「はーい」
「おー」
ばしゃばしゃ
「すいません、傘、持ってもらっちゃって」
「身長差考えろ。お前が持ったら俺が入れねえだろ」
「むむむ…。あ!パウリーさん肩が濡れてるじゃないですか」
「これくらい別に…あーコラ出るな!傘から出るな!」
「ガレーラの大事な職人さんに風邪を引かせてしまったとあっては、皆さんに顔向けできません!」
「いやだからお前、ああもうこっち来い!傘持て!」
「え!あ、はい!!」
「っよ!(ひょい)」
「ひゃああ!お、おんぶ…!!」
「よーしよし、ちゃんと傘さしてろよ。これなら2人とも濡れねえだろ」
「す、すいません…」
「もう俺もブルーノのところで酒飲んで帰るかな。どうせあいつ、お前の身体が冷えるからとか言って温かい飯作ってるだろうし」
「そうですね、ぜひご一緒に!」
「しかし雨、やまねえなあ」
「やみませんねえ」
「あったけえなあ」
「あったかいですねえ」



2013.5/11〜6/12で使用。
ながい!!
パウリーさんと少年の雨の日のほのぼのを短くまとめるつもりが、これはもしや今までの拍手文の中で1番長いのでは…。
2人がしばらく歩くと、きっとブルーノさんが少年の傘を持って迎えに来てくれて「なんだ一緒だったのか」なんて言いながら、3人でバーに戻るんですよ。これだけ長くしてもまとまりきってないってどういうことでしょうか。(白目)



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