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CP9
サイファーポールの存在するはずのない9番目。
世界政府直下の暗躍諜報機関として活動する彼らは、背後で未だに少し寝ぼけている可愛い子供にはあまりに不釣り合いであった。
ハルアに血の匂いを嗅がせるのは抵抗がある。ましてや何かの間違いで攻撃でもされれば、島にそびえる司法の塔を氷づけにしない自信が無い。

「あそこは怖い犬さんやら猫さんがいるから、あんまりお勧めしないかなー。
あ、象さんもいるんだっけか」

「犬さん猫さん、象さん・・・!」

あれ、もしかして今の一言逆効果だった?
って言うかハルアちゃんが犬さんとか猫さんとか言ったら可愛いなおい。
じゃなくて。

ちなみに犬は狼、猫は豹、象は剣だったりするが、まあ良しとする。

「しかもあれだよ、あそこは最近人手もあんまり足りてないらしいからバタバタしてるらしいし、やっぱり」

俺の部屋でお茶飲んでよーよ、と続けるはずだったが。

「行きます」

「え」

「ぼく、その島でお仕事します!」

えええええええええええ。
いやいやいやいや待って待って待って。
ダメダメダメダメダメ、ほんとダメ。

「海軍に行くからには、ぼくはちゃんと頑張りたいです。
人手が足りないなら、行き、ます・・・!」

決心したように、クザンの腰にまわった腕に力がこもる。
なにこの子、可愛い。知ってたけど。
だからそうじゃなくて。

「え、でもさ、あれだよ・・・」

引き留めようと何かしらの理由を探す。
「料理とかの家事全般できなきゃダメだろうし・・・あ、ハルアちゃん全部できちゃうんだった。
体力仕事だし・・・あ、ハルアちゃん俺と本気追い駆けっこしても平気だったっけ。
他の給仕やら何やらと仲良くやらなきゃいけないし・・・でもハルアちゃんならどこ行っても可愛がられそう・・・。
あーもうあれだよ、あれ。あれ、なんだっけか・・・」

「クザンさん!」

「あ?あ、はいはい、なーに?」

「ぼく、お日さまの島で頑張ります!」

「え、うん」
あ、うなずいちゃった。

「頑張り、ます!」

今までで一番しっかりした声で宣言され、思わずうなずいてしまった。
それに対して、またしっかりと声が返ってくる。
え、どうしよう。マジでどうしよう。

可愛い子には旅をさせろなんて言うけれど。

「旅先がエニエスロビーとか・・・」

「えにゅーす・・・?」

「エニエスね、エニエスロビー」

「え、えねえす・・・」

可愛いなあ、この子なら大丈夫かなあ・・・。
ほんわかした会話に、思考までなにやらほんわかしてくる。
あ、まずはとりあえずセンゴクさんに言わないとか。

チリンチリンとベルを鳴らせば、イルカが驚いて避けていった。



プロポーズ、半分失敗!



「なんだ、今日のコーヒーはなんだか美味いな」
「この子が淹れたんだけど、この子、エニエスロビーにおいてもいい?」
「ハルアです!お願いします!」
「いいぞ」
「ええええええええ、ちょっとセンゴクさん」
「なんだ、お前が言ったんだろう」
「ありがとうございます!!」



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