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「少しお使いを頼めるか?」

「もちろん!」

声をかければ、ばっ!とばかりに顔がこちらを向く。
おかしいな、思い切り振られるしっぽが見えるぞ。
せっかく秘密にしていたのに、早々にあの二人にバレてしまうのは惜しいが、こう喜ばれるとなんだかくすぐったい。

「直に昼休憩の時間だ。ゆっくり歩いて行けばちょうど良いだろう」

風呂敷を渡してやり、簡単に地図を描いてやる。
たいして遠くも無く道も複雑ではない。この子なら問題無いだろう。
抱えたままだったぬいぐるみを荷物の上にそっと置く姿に、やはりばたばたと動くしっぽが見える。

「行ってきます!」

「ああ、行ってらっしゃい」

まるで本当の甥と伯父のようじゃないか。
酒場の店主に扮するCP9の一人は、小さな姿を見送って優しく微笑んでいた。


+++++++


「ひゃああああー・・・」

おっきいですねー!!
ブルーノさんの地図の通りにやって来たガレーラカンパニー。
造船会社だそうですが、全く想像がつきません。

わくわくどきどき

ああ!なんて不思議に満ち溢れた島なんだろう!
しょうがないんです!なんたってぼくは十歳なんですから!
初めて見るものが多すぎて一度だけころんでしまいました。(恥ずかしい!)
むむむ、いざ行かん!

でも・・・入って、良いんでしょか・・・。
門は大きく開かれていますが、周りに人の姿はありません。
ひょいひょい入って行って、はい不法侵入!なんてことになったら大変です。

・・・困りました。

腕に抱えたお弁当の包まれた風呂敷はあたたかいですが、このままここにいれば冷めてしまいます。
むむむむ・・・!

「ええい!いざ行かん!」

意を決して踏み込んでみましょう。
お腹を空かせたお二人が待っています!
早くお二人に会えると良いんですが、どこにいらっしゃるんでしょう。
ちゃんとブルーノさんに確認しておくべきでしたねえ。
さてさて、歩くしかないですかね。

とことことしばらく歩きましたが、懐かしいお二人の姿は見当たりません。
ああ、カリファさんもお元気でしょうか?
何度か人を見かけましたが、皆さん楽しそうに談笑していらっしゃったので話しかけるのがはばかられました。
・・・本当に困りました・・・。

カクさーん。
ルッチさーん。

心の中でお二人を呼んでみても、当然誰も振り向きません。
心細くなってきました・・・。
まだあたたかい風呂敷を抱えなおし、はい深呼吸。
大丈夫、大丈夫です。
ほらほら、しょげている時間はありません。この建物にはいませんかね?

ひょい、と開かれた扉から覗き込めば、ひゃあ!大きな船ですよ!

「おいガキ、お前どこから入りやがった」

「!!!」

あああ、はい不法侵入!のパターンですか!?
うわあああんブルーノさーん!!

振り向く前から、白い煙がぼくの頬を撫でていました。



ハロー新天地!ハロー見知らぬあなた!



「(ざわざわどきどき)」
「さっきからどうしたんじゃおぬしは」
「・・・分からんっポー・・・」
「しかしブルーノはまだかのう」
「(そわそわ)」
「おや、パウリーの奴もおらんようじゃの」



あとがき

ついに来ましたW7!!
テンションが上がりますね!くううう!!
ブルーノさんは皆の父親兼母親です。←
次回は葉巻なあの方とちょっとむにゃむにゃ。
そしてあの方も出て来てもらいましょう。
管理人:銘



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